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  • な顔をしているから「何を見やげに買って来てやろう、何が欲しい」と聞いてみたら「越後(えちご)の笹(ささあめ)が食べたい」と云った。越後の笹なんて聞いた事もない。第一方角が違う。「おれの行く田舎には笹はなさそうだ」と云って聞かしたら「そんなら、どっちの見当です」と聞き返した。「西の方だよ」と云う…
    318キロバイト (59,334 語) - 2023年10月17日 (火) 13:42
  • 赤き緒(を)の 下駄(げた)など欲(ほ)しとわめく子なりし 二日(ふつか)前に山の絵(ゑ)見しが 今朝(けさ)になりて にはかに恋しふるさとの山 売(あめうり)のチャルメラ聴(き)けば うしなひし をさなき心ひろへるごとし このごろは 母も時時(ときどき)ふるさとのことを言ひ出(い)づ 秋に入(い)れるなり…
    67キロバイト (13,278 語) - 2022年4月5日 (火) 21:39
  •  我(が)を立てて恋をするのは、火事頭巾(かじずきん)を被(かぶ)って、甘酒を飲むようなものである。調子がわるい。恋はすべてを溶(と)かす。角張(かどば)った絵紙鳶(えだこ)も細工(あめざいく)であるからは必ず流れ出す。我は愛の水に浸して、三日三晩の長きに渉(わた)ってもふやける気色(けしき)を見せぬ。どこまでも堅く控えて…
    711キロバイト (133,899 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49