ユダの書(文語訳)

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<文語訳新約聖書

w:舊新約聖書 [文語]』w:日本聖書協会、1950年

w:大正改訳聖書

ユダの書

第1章[編集]

1:1[編集]

イエス・キリストの僕にしてヤコブの兄弟なるユダ、書を召されたる者、すなはち父なる神に愛せられ、イエス・キリストの爲に守らるる者に贈る。

1:2[編集]

願はくは憐憫と平安と愛と、なんぢらに増さんことを。

1:3[編集]

愛する者よ、われ我らが共に與る救につき勵みて汝らに書き贈らんとせしが、聖徒の一たび傳へられたる信仰のために戰はんことを勸むる書を、汝らに贈るを必要と思へり。

1:4[編集]

そは敬虔ならずして我らの神の恩惠を好色に易へ、唯一の主なる我らの主イエス・キリストを否むものども潜り入りたればなり。彼らが此の審判を受くべきことは昔より預じめ録されたり。

1:5[編集]

汝らは固より凡ての事を知れど、我さらに汝等をして思ひ出さしめんとする事あり、即ち主エジプトの地より民を救ひ出して、後に信ぜぬ者を亡し給へり。

1:6[編集]

又おのが位を保たずして己が居所を離れたる御使を、大なる日の審判まで、闇黒のうちに長久の繩目をもて看守し給へり。

1:7[編集]

ソドム、ゴモラ及びその周圍の町々も亦これと同じく、淫行に耽り、背倫の肉慾に走り、永遠の火の刑罰をうけて鑑とせられたり。

1:8[編集]

かくの如くかの夢見る者どもも肉を汚し、權威ある者を輕んじ、尊き者を罵る。

1:9[編集]

御使の長ミカエル惡魔と論じてモーセの屍體を爭ひし時に、敢へて罵りて審かず、唯『ねがはくは主なんぢを戒め給はんことを』と云へり。

1:10[編集]

されど此の人々は知らぬことを罵り、無知の獸のごとく、自然に知る所によりて亡ぶるなり。

1:11[編集]

禍害なるかな、彼らはカインの道にゆき、利のためにバラムの迷に走り、またコラの如き謀反によりて亡びたり。

1:12[編集]

彼らは汝らと共に宴席に與り、その愛餐の暗礁たり、憚らずして自己をやしなふ牧者、風に逐はるる水なき雲、枯れて又かれ、根より拔かれたる果なき秋の木、

1:13[編集]

おのが恥を湧き出す海のあらき波、さまよふ星なり。彼らの爲に暗き闇、とこしへに蓄へ置かれたり。

1:14[編集]

アダムより七代に當るエノク彼らに就きて預言せり。曰く『視よ、主はその聖なる千萬の衆を率ゐて來りたまへり。

1:15[編集]

これ凡ての人の審判をなし、すべて敬虔ならぬ者の不敬虔を行ひたる不敬虔の凡ての業と、敬虔ならぬ罪人の、主に逆ひて語りたる凡ての甚だしき言とを責め給はんとてなり』

1:16[編集]

彼らは呟くもの、不滿をならす者にして、おのが慾に隨ひて歩み、口に誇をかたり、利のために人に諂ふなり。

1:17[編集]

愛する者よ、汝らは我らの主イエス・キリストの使徒たちの預じめ言ひし言を憶えよ。

1:18[編集]

即ち汝らに曰らく『末の時に嘲る者おこり、己が不敬虔なる慾に隨ひて歩まん』と。

1:19[編集]

彼らは分裂をなし、情慾に屬し、御靈を有たぬ者なり。

1:20[編集]

されど愛する者よ、なんぢらは己がいと潔き信仰の上に徳を建て、聖靈によりて祈り、

1:21[編集]

神の愛のうちに己をまもり、永遠の生命を得るまで我らの主イエス・キリストの憐憫を待て。

1:22[編集]

また彼らの中なる疑ふ者をあはれみ、

1:23[編集]

或者を火より取出して救ひ、或者をその肉に汚れたる下衣をも厭ひ、かつ懼れつつ憐め。

1:24[編集]

願はくは汝らを守りて躓かしめず、瑕なくして榮光の御前に歡喜をもて立つことを得しめ給ふ者、

1:25[編集]

即ち我らの救主なる唯一の神に、榮光・稜威・權力・權威、われらの主イエス・キリストに由りて、萬世の前にも今も萬世までも在らんことを、アァメン