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き、封建社󠄃會は當時の革命的ブルジョアジーと致命戰をやつてゐた。良心の自由、および信仰の自由といふ思想は、ただ自由競爭の優勝󠄃を知識󠄂界について言明したに過󠄃ぎない。

 『けれども』と誰かがいふだらう。『宗敎的、道󠄃德的、哲學的、政治的、法律的の諸󠄃思想は、いかにも歷史發展の道󠄃程󠄃において變化󠄃したに相違󠄄ないが、宗敎、道󠄃德、哲學、政治、法律は、常にその變化󠄃の間に嚴存した。』

 『それにまた、自由、正義などといふ、あらゆる社󠄃會狀態に共通する、永劫の眞󠄃理がある。しかるに共產主義は、その永劫の眞󠄃理を廢絕する。宗敎、道󠄃德を改新するのではなく、全󠄃くそれを廢絕する。だから共產主義は、あらゆる過󠄃去の歷史發展と矛盾する。』

 この難󠄄詰は一體どういふことに歸着するか。あらゆる過󠄃去の社󠄃會の歷史は、階級對立の中に發展してゐる。そしてその階級對立は、時代々々に從つてその