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Page:Bushido.pdf/215

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たるも、是れ唯だ眞理の半片を捉へたるに過ぎず。漢字の『』とは、解して持箒の女と云ふ。されど其箒を揮つて結婚同盟者に反抗し、攻守の態度を執るものにも非らず、又た之に駕翔して魔術を行ふのマザー、グースたるものにも非らず、唯だ箒本來の使途に於て之を無害の用に充つるのみ。の思想は、英語にてワイフ(妻―織女の義)及びドーター(娘―酪婦)の字義の有する所に等しく、共に家庭的なり。又た獨逸皇帝の如くに、單に婦人活動の範圍を以て、厨房(Küche)敎會(Kirche)及び小兒(Kinder)の三ケーに限るものに非らずと雖、武士道の理想的婦人は、要するに家庭的なるものなりき。其の家庭的なると、勇婦的なるとの武士道女性の二特色は、一見矛盾するの狀ありて、而して武士道の敎訓よりすれば、