ペトルに目を注ぎたれば、ペトル主の彼に、鶏の鳴かざる先に、爾三次我を諱まんと、云ひし言を憶ひ起して、
六二 外に出でて、痛く哭けり。
六三 イイススを執れる者戯れて、彼を扑てり。
六四 其目を蔽ひて、其面を批ち、問ひて曰へり、預言せよ、爾を撃ちし者は誰ぞ。
六五 其他多くの事を謂ひて、彼を誚れり。
六六 平旦に及びて、民の長老等と司祭諸長と學士等と集りて、彼を其公会に曳きて
六七 曰へり、爾はハリストスなるか、我等に告げよ。彼曰へり、我若し爾等に告げば、爾等信ぜざらん、
六八 若し爾等に問はば、爾等應へざらん、又我を釈さざらん。
六九 今より後人の子は神の大能の右に坐せん。
七〇 僉曰へり、然らば爾は神の子なるか。彼答へて曰へり、爾等言ふ、我は是なり。
七一 彼等曰へり、何ぞ復証を求めん、蓋我等自ら其口より聞けり。
第二十三章
一 衆皆起ちて、彼をピラトの前に曳き、
二 彼を訴へて曰へり、我等は此の人が我が民を惑はし、税をケサリに納むるを禁じ、自らハリストス王と稱ふるを見たり。
三 ピラト彼に問ひて曰へり、爾はイウデヤ人の王なるか。彼答へて曰へり、爾言ふ。
四 ピラト司祭諸長及び民に謂へり、我此の人に一も罪あるを見ず。
五 然れども
彼等