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道󠄁の埃


私は草を藉いて

坐つてゐた

私の前󠄁を人が

通󠄁るのを見てゐた

突然私には解つた

彼がの人であることが

彼の脚についてるのは

杳かな道󠄁の埃だつた……

拳󠄁骨ほどの梨畑の梨を

彼は見もしないで

行つてしまつた



終󠄁業のベルが鳴る……


終󠄁業のベルが鳴る……

生徒等はランドセルを

背追󠄁ひみな行つてしまふ

おくれた小さい生徒も

汽車にのりおくれるとでもいふやうに

兩腕をつきあげてランドセルを

背負ひ 帽子をひつたくつて

いつてしまふ

あの子たちはどこへ歸つてゆくのだらう

あんなに大急󠄁ぎで

何があの子達󠄁の魂を抱󠄁きとり

その魂の孤獨をなくすのだらう

私は