Page:NiimiNankichi-NurseryRhymes and Poems-1-DaiNipponTosho-1981.djvu/95

提供:Wikisource
このページは検証済みです

花󠄁


今朝󠄁はこんなに

みんなが花󠄁を

持つて來てくれた

敎室の隅の花󠄁瓶に

いつぱいで

重くて持てないほどだ

芙蓉もある

萩もある

尾花󠄁もある

女郞花󠄁もある

百日紅も坊主花󠄁も

名も知らぬ花󠄁も――

押しあつて押されて

こぼれた花󠄁がこんなに

床にちらばつてゐる

なんてすばらしいことだ

今朝󠄁はこんなに

みんなが花󠄁を持つて來てくれた


あの少女も持つて來たらう

この少女も持つて來たらう

そして

彼女達󠄁は

花󠄁といつしよに

今朝󠄁は何か明󠄁るい美しいもの

やさしい澄んだものも

持つて來たらう

彼女達󠄁が持つて來た花󠄁と

それといつしよに持つて來た

美しいもので

今朝󠄁のここはこんなに

明󠄁るい

私は敎室にはいりかけて

思はずほゝえんだ

思はずほゝえんだ