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た。幸德が生きてゐたら何といふか知らんが、私はやはりこの新譯に彼と二人の名を署󠄃しておく。

 ドイツ語の新版には、一八七二年のマルクス、エンゲルスの序文のほか、一八八三年のと一八九〇年のと、エンゲルスの序文が二つ載つてゐる。しかしその內容は次に記󠄂したイギリス譯の序に盡されてゐる。

大正十年五月
堺利彥

(日本では、その後、この私の譯文が何人かの手により、祕密出版として數回發行された。また昨年、大田黑年男氏らの手によつて、『共產黨宣言』と題する四百ページの大册が發行され、禁止にはなつたが、それ以前、少からぬ部數が頒布された。この大册には『宣言』の本文のほか、リヤザノフの『共產主義者󠄃同盟』の歷史と、同じくリヤザノフの、二百ページ以上にわたる『評󠄃註』と、エンゲルスの『共產主義の原理』――實は『宣言』の草案――等が附錄されてゐる。一九三〇年七月追󠄃記󠄂。堺)