172
先に怠りて、後に怠らざるもの、彼此の世界を照すこと、雲を離れたる月の如し。
173
人の作したる惡業、後、善の爲めに覆はるれば、此の人、世を照すこと、雲を離れたる月の如し。
174
此の世界は、暗黑にして、觀察〔の力〕あるものは、少し、網を離れたる鳥の如くに、天に昇るものは少し。
175
鴻雁は日の道を行き、神力あるものは空を行く、賢者は、魔王と其の眷屬とを倂せ破りて、世を離脫するなり。
176
唯一の法を超え、妄語を吐く人、來世を等閑に思へるものは、罪として犯さざるなし。
177
慈念なき輩は天界に入らず、愚人は施與を稱揚することなし、賢者は施與を隨喜し、之によりて彼は來世に於て安樂なり。
178
世界を一王の國土となし、或は天界に赴き、有ゆる世界に主となる、預流果は此の何れにも勝る。
佛陀品第十四
179
勝ちたるものは再び之を勝つこと能はず、其の勝利には此の世の何人も之に入ること能はず、(1)斯く行履限りなく、跡なき佛を如何なる道によりてか導かんとする。
180
其の網、其の欲、其の愛、何處にも之を尋ぬべきなし、斯く行履限りなく、跡なき佛を、如何なる