て。
17
此處に苦み、來る世に苦み、惡を作すものは兩處に苦む、「われ惡業を犯せり」とて苦み、惡趣に陷りて益益苦む。
18
此處に歡び、來る世に歡び、福を作せるものは兩處に歡ぶ、「我福業を作せり」とて歡び、善趣に生れて益益歡ぶ。
19
(9)佛語を讀誦すること多しと雖も、放逸にして之を行ふことなくば、牧者の他人の牛を算ふるが如く、(10)沙門道に於て得る所なし。
20
佛語を讀誦すること少しと雖も、正法の隨法行者たり、貪と瞋と又癡とを棄て、正智あり、心よく解脫せるものは、此の世彼の世に著なくして、(11)沙門道に達すべし。
(1) 原語には「古」の意もあり、法句經註解書には「古の法、總ゆる佛、辟支佛、漏盡の聲聞の踏みたる道」と釋せり。 (2) Yamāmase 閻魔王の爲に服せらる、死に近く、死に行く、消え果つ等の意もあり、 (3) 原典にては「他」の字を用ひ、「智者を除きて他のもの」と釋す。 (4) 見聞し知覺する物體に對して莊美なり淸淨なり愛すべきものなり等の觀念を抱くを云ふ。 (5) 眼耳鼻舌身意の六根を制せず、此等諸根の門戶を護らざるを言ふ。 (6) 漏とは煩惱の謂なり。 (7) 「精」とは「精髓、中樞、要部」等の義なり、「非精」とは之に反して、緊要ならざる部分なり。 (8) 「邪思惟」又は「正思惟」を其の分別の「境界」、範圍とするの意なり。 (9) 原語には、有義、有利等の義あり、佛の說かれたる敎を言ふ。 (10) 「沙門道の分得者にあらず、」 (11) 涅槃に達するを言ふ。
精勤品第二