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  あかしけむ  いかなるいろの  おもきぞと  いふはこれこそ

  つみならし  とはあふくまの  あひも見で  かゝらぬひとに

  かゝれかし  なにのいは木の  身ならぬは〈ねどイ〉  おもふこゝろも

  いさめぬに  うらのはまゆふ  いくかさね  い〈へカ〉だてはてつる

  からころも  なみだのかはに  そぼつとも  おもひしいでば

  たきものゝ  この目ばかりは  かわきなむ  かひなきことは

  甲斐のくに  つみのみ〈まき脫歟〉に  荒るゝ馬の  いかでかひとは

  かけとめむと  おもふものから  たらちねの  親と〈もカ〉知るらむ

  かたかひの  こまやこひつゝ いなかせむと  おもふばかりぞ

  あはれなるべき」

とか。使あればかくものす、

 「なつくべき人も放てばみちのくのうまやかぎりにあらむとすらむ」。

いかゞ思ひけむたちかへり、

 「われがなををふり〈ちカ〉の駒のあればこそなつくにつかぬ身とも知られめ」。

かへしまた、

 「こまぞ〈うカ〉げになりまさりつゝなつけぬをこ繩絕えずぞ賴み來にけり〈るカ〉」。

又、かへし、