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理由

 被告人は昭和二十四年八月二十二日頃法令に基く職務のためでなく且つ法定の許可を受けないで外国製六連発拳銃壱挺(証第一号)を肩書居宅に蔵置して之を所持したものである。
 右の事実は

一、押収に係る拳銃壱挺(証第一号)
一、被告人の当公廷に於ける供述
一、昭和二十四年十月十二日附青森県立弘前工業高等学校長阿部高治より弘前警察署長に宛てた鑑定嘱託に関する回答と題する書面
一、検事沖中益太に対する被告人の昭和二十四年十月十四日附第一回供述調書

を綜合して之を認める。
 法律に照すに被告人の判示所為は銃砲刀劍類等所持取締令附則第三項、銃砲等所持禁止令第一条第二条、同令施行規則第一条第一号、罰金等臨時措置法第二条第一項に該当するので、所定刑中罰金刑を選択しその金額範囲内に於て被告人を罰金五千円に処し、刑法第十八条に依り被告人に於て右罰金を完納することができないときは金弐百円を壱日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
 なお被告人に対する公訴事実中殺人の点についてはその証明十分ならず結局犯罪の証明なきに帰するを以て刑事訴訟法第三百三十六条により無罪の言渡を為すべきものである。

 よつて主文のように判決する。

  昭和二十六年一月十二日