約翰默示録(明治元訳) 第三章

Wikisource:宗教 > 聖書 > 明治元訳新約聖書 (明治37年) > 約翰默示録(明治元訳)

第三章

1 爾（なんぢ）サルデスの教會（けうくわい）の使者（ししや）に書（かき）贈（おく）るべし神（かみ）の七（ななつ）の靈（れい）を持（もち）また七（ななつ）の星（ほし）を持（もつ）もの此（かく）の如（ごと）く言（いふ）と曰（いはく）われ爾（なんぢ）の行爲（わざ）をしる又（また）なんぢに生（いけ）る名（な）ありて其（その）實（じつ）は死（しね）ることを知（しる）
2 なんぢ目（め）を醒（さま）し幾（ほとん）ど死（しな）んとする殘情（のこりのもの）を堅（かたく）せよ我（われ）なんぢの行爲（わざ）の我（わが）神（かみ）の前（まへ）に全（まつた）きを見（み）ざる也（なり）
3 是（この）故（ゆゑ）に爾（なんぢ）が受（うけ）たるところ聞（きき）たる所（ところ）を憶（おもひ）起（いで）これを守（まも）りて悔（くい）改（あらた）めよ若（も）し目（め）を醒（さま）し居（をら）ずば我（われ）盜賊（ぬすびと）の如（ごと）く爾（なんぢ）に到（いた）らん爾（なんぢ）わが何（いづれ）の時（とき）なんぢに到（いた）るかを知（しら）ざる也（なり）
4 然（され）どもサルデスになほ數人（すにん）いまだ其（その）衣（ころも）を汚（けが）さざる者（もの）あり彼等（かれら）は白（しろき）衣（ころも）をきて我（われ）と同（とも）に行（あゆ）まん彼等（かれら）は然（しか）するに足（たる）もの也（なり）
5 勝（かち）を得（うる）ものは白（しろき）衣（ころも）を着（きせ）られん我（われ）その名（な）を生命（いのち）の書（ふみ）より塗抹（けしおと）さず又（また）わが父（ちち）と其（その）使（つかひ）等（たち）の前（まへ）に彼（かれ）が名（な）を言（いひ）陳（のべ）ん
6 耳（みみ）ある者（もの）は靈（みたま）の諸（しよ）教會（けうくわい）にいふ所（ところ）を聽（きく）べし

7 爾（なんぢ）ヒラデルヒアの教會（けうくわい）の使者（ししや）に書（かき）贈（おく）るべし聖（きよき）もの誠（まこと）なる者（もの）ダビデの鑰（かぎ）をもつ者（もの）かれ闢（ひらけ）ば誰（たれ）も闔（とづ）ること能（あた）はず彼（かれ）闔（とづ）れば誰（たれ）も闢（ひらく）こと能（はた）はず此（この）者（もの）かくの如（ごと）く言（いふ）と
8 曰（いはく）われ爾（なんぢ）の行爲（わざ）をしる視（み）よ我（わ）れ門（もん）を爾（なんぢ）の前（まへ）に闢（ひら）けり之（これ）を闔（とづ）ることを得（う）る者（もの）なし蓋（そは）なんぢ少（すこし）く力（ちから）ありて我（わが）言（ことば）を守（まも）り我（わが）名（な）を棄（すて）ざれば也（なり）
9 夫（か）の自（みづか）らユダヤ人（びと）と稱（いひ）て實（じつ）は非（しから）ず唯（ただ）謊言（いつはり）をいふサタンの會（くわい）の或（ある）者（もの）をして我（われ）これを爾（なんぢ）の所（もと）に來（きた）らしめ爾（なんぢ）の足（あし）の前（まへ）に伏（ふさ）しめ我（わが）なんぢを愛（あい）せしことを知（しら）しめん
10 爾（なんぢ）わが忍耐（にんたい）の言（ことば）を守（まもり）しにより我（われ）も亦（また）なんぢを守（まも）りて地（ち）に住（すむ）人（ひと）を試（こころ）みんが爲（ため）に全（ぜん）世界（せかい）に臨（きたら）んとする試煉（こころみ）の時（とき）に之（これ）を免（まぬか）れしむべし
11 われ迅速（すみやか）に來（きた）らん爾（なんぢ）が有（もつ）ところの者（もの）を堅（かた）く保（たも）ちて爾（なんぢ）の冕（かんむり）を人（ひと）に奪（うばは）るること勿（なか）れ
12 勝（かち）をうる者（もの）をば我（わが）神（かみ）の殿（みや）の内（うち）の柱（はしら）となさん此（ここ）より再（ふたた）び出（いづ）ることなし我（われ）また我（わが）神（かみ）の名（な）と吾（わが）神（かみ）の京城（みやこ）すなはち天（てん）より我（わが）神（かみ）の所（もと）より降（くだ）る新（あたら）しきエルサレムの名（な）および我（わ）が新（あたら）しき名（な）を之（これ）に書（しる）さん
13 耳（みみ）ある者（もの）は靈（みたま）の諸（しよ）教會（けうくわい）に言（いふ）ところを聽（きく）べし
14 爾（なんぢ）ラオデキヤの教會（けうくわい）の使者（ししや）に書（かき）贈（おく）るべしアメン(※1)たる者（もの）忠信（ちうしん）なる眞實（まこと）の證者（しやうしや）神（かみ）の造化（ざうくわ）の始（はじめ）なる者（もの）かくの如（ごと）く言（いふ）と
15 曰（いはく）われ爾（なんぢ）が冷（ひやや）かにも有（あら）ず熱（あつく）も有（あら）ざることを爾（なんぢ）の行爲（わざ）に由（より）て知（しれ）り我（われ）なんぢが冷（ひやや）かなるか或（あるひ）は熱（あつ）からん事（こと）を願（ねが）ふ
16 爾（なんぢ）すでに温然（ぬるく）して冷（ひやや）かにも有（あら）ず熱（あつ）くも有（あら）ず是（この）故（ゆゑ）に我（われ）なんぢを我（わ）が口（くち）より吐（はき）出（いだ）さんとす
17 なんぢ自（みづか）ら我（われ）は富（とみ）かつ豐（ゆたか）になり乏（ともし）き所（ところ）なしと稱（いひ）て實（じつ）は惱（なやめ）るもの憐（あはれ）むべきものまた貧（まづし）く瞽（めし）ひ裸體（はだか）なるを知（しら）ざれば
18 われ爾（なんぢ）に勸（すすむ）なんぢ富（とみ）をなさんために我（われ）より火（ひ）に燬（やき）たる金（きん）を買（かへ）また己（おの）が裸體（はだか）の恥（はぢ）の露（あらは）れざらん爲（ため）に白（しろき）衣（ころも）を買（かひ）て纏（まと）へ又（また）見（みる）ことを得（え）ん爲（ため）に目藥（めぐすり）を買（かひ）て目（め）にぬれ
19 凡（すべ）て我（わ）が愛（あい）する者（もの）は我（われ）これを責（いまし）め之（これ）を懲（こら）す是（この）故（ゆゑ）に爾（なんぢ）勵（はげみ）て悔（くい）改（あらた）めよ
20 視（み）よ我（われ）戸（と）の外（そと）に立（たち）て叩（たたく）もし我（わが）聲（こゑ）を聞（きき）て戸（と）を開（ひら）く者（もの）あらば我（われ）その人（ひと）の所（もと）に就（いたら）ん而（しか）して我（われ）はその人（ひと）と偕（とも）に其（その）人（ひと）は我（われ）と偕（とも）に食（しよく）せん
21 勝（かち）をうる者（もの）には我（われ）さきに勝（かち）を得（え）て我（わが）父（ちち）と偕（とも）に其（その）寶座（くらゐ）に坐（ざ）するが如（ごと）く我（われ）と偕（とも）に我（わ）が寶座（くらゐ）に坐（ざ）することを許（ゆる）さん
22 耳（みみ）ある者（もの）は靈（みたま）の諸（しよ）教會（けうくわい）に言（いふ）ところを聽（きく）べし

※1 明治14(1881)年版では「アメン」→「アーメン」。