第三「カフィズマ」

第十七聖詠[編集]

れいちょううたはしむ。しゅぼくダワィドは、しゅかれ其諸敵そのしょてきおよサウルよりすくひしときしゅうたことばべてへり。

しゅわれちからよ、われなんぢあいせん。

しゅわれ防固かためわれ避所かくれがなり、われすくものわれかみわれいはなり、われかれたのむ、かれわれたてすくひつのわれのがるるところなり。

われをがむべきしゅびて、てきよりすくはれん。

いたくるしみわれかこみ、ほうながれわれおどせり、

ごくくさりわれめぐり、あみわれまとへり。

われ患難かんなんうちしゅび、かみべり。かれその聖殿せいでんよりこゑき、呼聲よびごゑ其耳そのみみいたれり。

ふるひてうごき、やまもといふるひてうつれり、かみいかりはつしたればなり。

そのいかりりてけむりおこり、其口そのくちよりで、爇炭やけずみかれよりちたり。

一〇 かれてんかたぶけてくだれり、そのそく闇冥くらやみなり。

一一 ヘルワィムりてび、かぜつばさにてかけり、

一二 闇冥くらやみおのれおほひし、みづ闇冥くらやみ天雲てんうん闇冥くらやみおのれめぐかげせり。

一三 其前そのまへかがやきりて、其雲そのくもひょう紅炭もえずみとはせたり。

一四 しゅてんとどろき、じょうしゃおのれこゑひょう紅炭もえずみあたへたり。

一五 おのれかれらし、おほくのいなづまはつしてかれつひやせり。

一六 しゅよ、なんぢげんこゑりて、なんぢいかりふくりて、みづいづみあらはかいもといあらはれたり。

一七 かれたかきよりべ、われりておほくのみづよりいだせり。

一八 われつよてきと、われにくわれよりつよものよりすくへり。

一九 かれ患難かんなんに、ちてわれめたれども、しゅところとなれり。

二〇 かれわれひろところいだして、われすくへり、そのわれよろこぶにる。

二一 しゅわれしたがひてわれむくい、いさぎよきにしたがひてわれしょうせり、

二二 けだしわれしゅみちまもり、かみまへ悪者あくしゃたらざりき、

二三 けだしそのいましめことごとまへにあり、われいまそのおきてはなれず。

二四 われかれまへきずなし、つつしみてつみおちいらんことをふせげり。

二五 ゆゑしゅわれしたがひ、その目前もくぜんいさぎよきにしたがひてわれむくいたり。

二六 矜恤あはれみあるものにはなんぢ矜恤あはれみもつこれほどこし、せいちょくものにはせいちょくもつて、

二七 いさぎよものにはいさぎよきをもつて、よこしまなるものにはそのよこしましたがひてこれほどこす。

二八 けだしなんぢ迫害はくがいせらるるものすくひ、たかぶるひくくす。

二九 しゅよ、なんぢともしびともし、かみわれ闇冥くらやみてらす。

三〇 われなんぢともぐんやぶり、かみともじょうえんのぼる。

三一 嗚呼あゝかみよ、其道そのみちきずなし、しゅことばいさぎよし、かれおよかれたのものためたてなり。

三二 けだししゅほかたれかみたる、かみほかたれまもりたる。

三三 かみちからもつわれおびし、ためただしきみちそなふ、

三四 あし鹿しかごとくにし、われたかところたしむ、

三五 たたかひをしへ、ひぢあかがねゆみかしむ。

三六 なんぢわれすくひたてたまへり、なんぢみぎわれたすけ、なんぢあはれみわれおほいなるものとなす。

三七 なんぢわれもとあゆみひろくし、あしよわらず。

三八 われてきひてこれおよび、これほろぼぼさざればかへらず、

三九 かれてば、かれあたはず、あしもとたふる。

四〇 けだしなんぢちからもつわれおびしてたたかひそなへ、ちてわれむるものあしもとくだせり、

四一 なんぢてきわれけたり、われにくものわれこれほろぼす、

四二 かれべども、すくものなし、しゅぶも、かれかず、

四三 われかれらすこと、風前ふうぜんちりごとく、かれむこと、みちひぢりこごとし。

四四 なんぢわれたみじょうらんよりすくひ、われててほうかしらとなせり、かつらざりしたみわれつとむ、

四五 かれひとたびことけば、われふくす、ほうじんまへへつらふ、

四六 邦人ほうじんいろへんじて、その固塞とりでうちおののく。

四七 しゅ生活せいかつなり、われまもものしゅくさんせらる。

四八 ねがはくはすくひかみためあだかへし、われ諸民しょみんしたがはしむるかみわれ諸敵しょてきよりすくものさんしょうせられん。

四九 なんぢわれちてわれむるものうへげ、残忍ざんにんひとよりわれすくへり。

五〇 しゅよ、ゆゑわれなんぢほううちげん、

五一 おほいなるすくひおうほどこし、あはれみなんぢあぶらつけられしものダワィドおよ其裔そのすゑ世世よよるるものよ、われなんぢうたはん。

光榮讃詞

第十八聖詠[編集]

れいちょううたはしむ。ダワィドえい

諸天しょてんかみ光榮こうえいつたへ、穹蒼おほぞらその作爲しわざぐ。

ことばべ、ほどこす。

其聲そのこゑきこえざる言語げんぎよなく、方言ほうげんなし。

其聲そのこゑぜんつたはり、そのことばはていたる。かみ其中そのうち住所すまひてたり。

づること、新郎はなむこ婚筵こんえんみやづるがごとく、よろこびてみちすることゆうごとし、

てんはてよりで、きててんはていたる、ものとしてそのあたためこうむらざるはなし。

しゅ律法りつぽうぜんにして、たましひかため、しゅけいただしくして、蒙者もうしゃさとからしむ。

しゅめいにして、こころたのしませ、しゅいましめあきらかにして、あかす。

一〇 しゅけるおそれきよくして、世世よよそんす。しゅもろさだめ真実しんじつにして、みななり、

一一 そのしたふべきこときんまさり、おほくのじゅんきんまさる、そのあまきことみつまさり、ふさよりしたたみつまさる、

一二 なんぢぼくこれりてしゅせらる、これまもるはおほいなるたまものるなり。

一三 たれおのれあやまちみとめん。ひそかなるとがよりわれきよたまへ、

一四 はんよりなんぢぼくとどめて、これわれせいせしむるなかれ。しかせばわれきずなくしておほいなるつみよりいさぎよくならん。

一五 しゅ防固かためわれすくものよ、ねがはくはくちことばこころおもひとはなんぢよろこばれん。

第十九聖詠[編集]

れいちょううたはしむ。ダワィドえい

ねがはくはしゅうれひおいなんぢき、イヤコフかみなんぢふせまもらん。

ねがはくは聖所せいしょよりたすけなんぢつかはし、シオンよりなんぢかためん。

ねがはくはなんぢことごとくのささげものおくし、なんぢやきまつりえたるものとせん。

ねがはくはしゅなんぢこころしたがひてなんぢあたへ、なんぢはかところことごげしめん。

われなんぢすくひよろこび、かみりてはたげん。ねがはくはしゅなんぢことごとくのねがひじょうじゅせしめん。

いまわれしゅそのあぶらつけられしものすくふをれり、かれ聖天せいてんよりそのすくひみぎちからもつこれこたふ。

あるひくるまもつて、あるひうまもつほこものあり、ただわれしゅかみもつほこる、

かれうごきてたふれ、ただわれきてなほつ。

一〇 しゅよ、おうすくへ、またわれなんぢばんときわれたまへ。

第二十聖詠[編集]

れいちょううたはしむ。ダワィドえい

しゅよ、おうなんぢちからたのしみ、なんぢすくひよろこぶこときはまりなし。

そのこころのぞところは、なんぢこれあたへ、其口そのくちもとむるところは、なんぢこれいなまざりき。

けだしなんぢじんしゅくふくもつかれむかへ、じゅんきんかんむりそのこうべこうむらせたり。

かれ生命いのちなんぢもとめしに、なんぢこれ世世よよ寿ことぶきたまへり。

かれさかえなんぢすくひもつおほいなり、なんぢ尊榮そんえいげんとをこれこうむらせたり。

なんぢかれしゅくふく世世よよたまひ、なんぢかんばせよろこびにてかれたのしませたり。

けだしおうしゅたのみ、じょうしゃじんりてうごかざらん。

なんぢなんぢことごとくのてきたづいだし、なんぢみぎおよなんぢにくものたづいださん。

一〇 なんぢいかときかれ火爐かろごとくなさん、しゅそのいかりおいかれほろぼし、かれまん。

一一 なんぢかれよりち、かれたねひとうちよりたん、

一二 けだしかれなんぢむかひてあくくはだて、はかりごともうけたれども、これぐることあたはざりき。

一三 なんぢかれててまととなし、なんぢゆみもつそのおもてはなたん。

一四 しゅよ、なんぢちからもつみづかあがれ、われなんぢ権能けんのうしょう讃榮さんえいせん。

光榮讃詞

第二十一聖詠[編集]

れいちょううたはしむ。あかつきときダワィドえい

かみよ、かみよ、われたまへ、なんわれてたる。ことばすくひよりとほし。

かみよ、われひるべども、なんぢみみかたぶけず、よるべども、われやすききをず。

しかれどもなんぢ聖者せいしゃは、イズライリさんしょううちるなり。

れつなんぢたのみたり、たのみたればなんぢかれたすけたり、

かれなんぢびてすくはれたり、なんぢたのみてはぢざりき。

ただわれむしにして、ひとあらず、ひとはづかしむるところたみかろんずるところなり。

われものみなわれあざけり、こうべうごかしてくちふ、

かれしゅたのめり、しゅかれよろこばば、かれたすくべし、すくふべし。

一〇 しかれどもなんぢわれはらよりいだせり、われははふところりしとき、なんぢうちたのみをけり、

一一 われ胎内たいないよりなんぢたくせられたり、はははらりしときより、なんぢかみなり。

一二 われはなるるなかれ、けだしうれひちかけれども、たすくるものなし。

一三 おほくのうしわれめぐり、ワサンえたるものわれかこめり、

一四 かれくちひらきてわれむかふ、えものゑてゆるししごとし。

一五 われそそがれしことみづごとく、ほねみなさんじ、こころろうごとくなりて、はらうちけたり。

一六 ちかられしことかはらかけごとく、したあぎきたり、なんぢわれちりくだせり。

一七 けだしいぬむれわれめぐり、悪者あくしゃくみわれかこみ、あし穿つらぬけり。

一八 ほねみなかぞふべし、かれそそぎてわれたはむる。

一九 ともうはわかち、したくじす。

二〇 しゅよ、われはなるるなかれ、ちからよ、すみやかわれたすけよ、

二一 たましひつるぎよりたすけ、ひとりなるものいぬよりたすたまへ、

二二 われししくちよりすくひ、われきて、われのうしつのよりすくたまへ。

二三 われなんぢ兄弟けいていつたへ、なんぢかいちゅううたはん。

二四 しゅおそるるものよ、かれげよ。イアコフすゑよ、みなかれ讃榮さんえいせよ。イズライリすゑよ、みなかれまへつつしむべし。

二五 けだしかれくるしものうれひてず、いとはず、そのかんばせかれかくさず、すなはちかれときこれけり。

二六 大会たいかいうちおいて、讃歌ほめうたなんぢす、ちかひしゅおそるるものまへつぐのはん。

二七 ねがはくはまづしきものくらひてき、しゅたづぬるものかれげん、ねがはくはなんぢこころながきん。

二八 はてみなおくしてしゅし、ほう諸族しょぞくみななんぢまへ伏拝ふくはいせん、

二九 けだしくにしゅぞくす、かれ萬民ばんみん主宰しゅさいなり。

三〇 じょうゆたかなるものみなくらひて伏拝ふくはいせん、ちりするものおのれ生命いのちまもあたはざるものは、みなかれまへ叩拝こうはいせん。

三一 そんかれつかへて、ながしゅものとなへられん。

三二 かれきたりてしゅしゅおこなひしこと後生こうせいひとつたへん。

第二十二聖詠[編集]

ダワィドのえい

しゅわれ牧者ぼくしゃなり、わればんとぼしからざらん。

かれわれしげくさいこはせ、われしづかなるみづみちびく。

たましひかため、おのれためわれみちおもむかしむ。

われかげたにくとも、がいおそれざらん、けだしなんぢわれともにす、なんぢつゑなんぢていわれやすんず。

なんぢてき目前もくぜんおいためえんもうけ、こうべあぶらうるほし、しゃくあふる。

ねがはくはなんぢ仁慈いつくしみ慈憐あはれみとは生命いのちあるわれともなはん、しかせばわれおほくのしゅいへらん。

第二十三聖詠[編集]

ダワィドのえい。(七日しちじつ首日しゅじつ

これつるものかいおよこれものは、みなしゅぞくす。

けだしかれこれうみもとづけ、これかはかためたり。

たれしゅやまのぼる、たれその聖所せいしょつ。

ただつみなきいさぎよこころあるものかつおのれたましひもつむなしくちかはず、おのれとなりいつはりちかひをなさざりしものなり、

かれしゅより降福こうふくけ、かみその救者きゅうしゃより矜恤きょうじゅつけん。

しゅたづぬるぞくイアコフかみよ、なんぢかんばせたづぬるぞくくのごとし。

もんよ、なんぢかしらげよ、世世よよよ、あがれ、光榮こうえいおうらんとす。

光榮こうえいおうたれたる、ゆうのうりょくしゅたたかひのうりょくあるしゅこれなり。

もんよ、なんぢかしらげよ、世世よよよ、あがれ、光榮こうえいおうらんとす。

一〇 光榮こうえいおうたれたる、萬軍ばんぐんしゅかれ光榮こうえいおうなり。

光榮讃詞