玉川
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玉川
作者:穂積頼母
地歌。作曲は、国山勾当。箏手付は、菊原琴治。
山城《やましろ》の、井出や見ましと駒止めて。なほ水《みず》飼《か》はん山吹の花の。露そふ春も暮れ。夏来にけらし見渡せば。浪の柵《しがらみ》かけてより、卯の花咲ける津の国の里に。月日《つきひ》を送る間に。いつしか秋に近江《あふみ》なる、野路には人の明日《あす》も来《こ》ん。今を盛りの萩《はぎ》越えて、色なる浪にやどりにし、月の御空《みそら》の冬ふかみ。雪気《ゆきげ》催ほす夕ざれば。汐風越して陸奥《みちのく》の、野田に千鳥の声淋《さび》し、ゆかし、名だたる武蔵野に晒《さら》す、さらす手づくりさらさらに。昔の人の恋しさも、今はたそひ奥山の、その流れをば忘れても、汲みやしつらん旅人の。高野の奥の水までも、名に流れたる、六つの玉川。
- 底本: 今井通郎『生田山田両流 箏唄全解』中、武蔵野書院、1975年。
この作品は1899年3月4日以前に公表されたもので、作者の死亡から100年以上経過しているため全世界でパブリックドメインの状態にあります。