松前島郷帳
松前島郷帳(まつまえじまごうちょう)
- 元禄13年(1700年)に松前藩が幕府へ国絵図とともに提出した郷帳(村名と石高を記録した帳簿)である。
- 本文にある通り、享保2年(1717年)の「順見衆」(幕府巡見使)へ提出する際に加筆された箇所がある。
- 底本は北地文化研究会資料室所蔵の『松前嶋郷帳』(北構保男編『アイヌ民族・オホーツク文化関連研究論文翻訳集』2006年に掲載の写真より)である。
- 同書には関場不二彦[1]と奥山亮の蔵書印が押されており、「番号315/御出品者関場殿/松前懐古展覧会」と記されたシールが付されている。
- 同時に作成された国絵図(『新撰北海道史』第2巻通説1に掲載の写真より)には郷帳にはない記述があるため、括弧を用いてその内容を挿入した。
- 地名の表記について、前述の国絵図および大田南畝の随筆である『一話一言』所収の『松前嶋郷帳』(『大田南畝全集』第15巻より)との差異を記した[2]。
- 漢字表記には旧字体や異体字を用いず、常用漢字と簡易慣用字体を用いた。また原文にある朱丸は「○」、朱点は「・」によって示した。
松前島郷帳 [編集]
[大松前[3]]
[松前志摩守居所]
[小松前[4]]
[弁才天[5]]
従松前西在郷并蝦夷地之覚
○つくし内村[6]
一 ねぶた村[7]
一 さつまい村
一 あか神村
一 雨だれ石村[7]
一 もくさ村
一 のしの下村
一 きよへ村[8]
一 ゑら町村
○そまるへ村[6]
一 おこしへ村
一 はらくち村
一 石崎村[9]
一 はねさし村
一 汐吹村
一 扇石村
一 滝沢村 ・人居無御座[6]
[しねこの崎]
一 木の子村
一 かみの国村[10]
一 喜多村
一 とゝ川村[11]
一 ふるへち村[12]
一 こかつて村
一 もしり村
一 つはな村[13]
一 江差村[14] ・番所夷往来并他国廻船改所
松前より拾七里弐丁[6]
一 とよへ内村[15]
一 つめき石村
一 おこない村
一 とまり村
一 おやま村 ・人居無御座[6]
一 田沢村
一 目名沢村
一 ふし木戸村
一 こりん沢村
一 乙部村
一 小も内村
一 大もない村[16]
一 とつふ村
一 みつや村
一 かはしら村[17]
一 あいの間内村
一 泊川村
一 けんにち村
一 熊石村[18] ・番所夷地江往来ノ舟并夷人改所
松前より廿七里壱丁[6]
一 ほろむい村
一 小島
一 大島
一 おこしり島[19]
従是蝦夷地[20]
[節喜内]
一 うすべち ・松前より三十里余[6]
[ほこしの崎]
一 ふとろ
一 せたない
一 浜せたない[21]
一 あぶら[22]
一 ちわし
一 しまこまき
一 夕まき
一 六条間
一 すつつ[23]
一 をたすつつ
一 たんねしり
一 しりべち
一 いそや
一 岩内
一 しりぶか[24]
一 むいの泊り
一 ふるう
[さん内]
[かもひの崎]
一 しやこたん
一 びくに
一 ふるびら[24]
一 ざるまき[25]
一 もいれ
一 よゐち
一 しくずし
一 かつち内[26]
一 おたる内[27]
一 はつしやふ[28]
一 しのろ[29]
一 しやつほろ
一 いしかり[30]
一 おしよろこつ
一 あつた
一 ましけ
一 べつかり[22]
一 ほろとまり[31]
一 はしへつ
一 つるをつへ
一 とままい[32]
[はほろ]
[つくべつ]
一 ういへち[33]
一 てしを[34]
一 ばつかいべ[35] 是よりそうやの内
一 つさん
一 のつしやむ
[ゑさん]
一 そうや
離島之分
一 へうれ[36]
[島[37]]
一 りいしり
一 れぶんしり[38]
一 いしよこたん
従松前東在郷并蝦夷地之覚
一 およべ村
一 大沢村
[しらかみの崎]
一 れいひげ村
一 吉岡村[39]
一 宮のうた村
一 ねまつり村
一 しらふ村
一 福島村[10][40]
[矢こしの崎]
一 しりうち村
一 わきもと村
一 きこない村
一 しやつかり村
一 和泉沢村[41]
一 六条間村
一 かまや村
一 みつ石村
一 大当別村 ・人居無御座[6]
一 小当別村
一 もへち村
一 やげ内村 ・人居無御座[6]
一 富川村
一 三や村
一 しよやま村 ・人居無御座[6]
一 へけれち村
一 ある川村
一 大野村
一 亀田村[42][10] ・番所夷往来他国廻船改所
松前より廿四里六丁廿四間[6]
一 箱館村
一 しりさぶ村
一 ゆの川村
一 しのり村 ○すゝき村[6]
○にこり川村[6]
一 銭神沢村 ○ふみつけ村[6]
○七重村[6]
一 汐とまり村 ○上ゆの川村[6]
○下市ノ渡村[6]
一 石崎村
一 おやす村
一 うか川村[43] ・人居無御座[6]
一 汐くび村[22][10] ・人居無御座[6]
[汐くびの崎]
是より蝦夷地[44]
一 はらき ・松前より廿八里余[6]
一 しりきし内[45]
一 ゑけし内
一 こぶい
一 ねた内
[ゑさんの崎]
[こぶい[46]]
一 おさつへ[47]
[なかはま]
[うすしり]
[つくのつへ]
[かやべ]
一 おとしつへ[48]
一 のたへ
一 ゆうらつふ[49]
一 くんぬい
一 しつかり
一 べんべ
一 おこたらへ
一 うす
一 ゑんども[22]
[おいなをし]
[わしべつ]
一 あよろ
一 しらおひ[43]
一 たるまへ
一 まこまへ
[いぶつ]
一 あづま
一 む川
一 さる
一 もんべつ[24]
一 けのまへ
一 にかぶ
一 しぶちやり
一 みついし[50]
一 浦川
一 もこち
一 ほろべつ
一 うんへち[51]
一 ほろいづみ
一 たもち
一 とまり
一 おんべつ
一 とかち
一 しらぬか
一 くすり
一 ちよろべつ
一 あつけし[52]
一 のつしやむ[53]
一 へけるゝ[54]
一 ちへ内[55]
一 しろい所[56]
一 るうしや
一 りいしやし
一 べりけ
一 ふなへち[57]
一 しやる
一 りんにくり
一 うらいしへち[58]
一 はゞしり
一 のとろ
一 つころ
一 ゆうべち[59]
一 のとろ
一 しよこつ
一 おこつべ[60]
一 ほろ内
一 ほろへち[61] 是迄ゆうへちの内
一 つうへち
くるみせ島の方[62]
一 いるゝ
一 つもしり
一 きいたつふ
一 もしりか
一 くなしり[63]
一 もうしや
一 はるたまこたん
一 まかんるゝ
一 おやこば
一 しやむらてふ
一 らせうわ
一 しりんき
一 あとゑふ
一 くるみせ[64]
一 ゑかりま
一 うるふ
一 ゑとろほ
一 ほんしりおゝい
一 しいあしこたん
一 ゑはいと[65]
一 もとわ
一 けとなひ[66]
一 もしや
一 しいもし
一 らつこあき
一 うせしり
一 れにんげちや
一 ふかんるゝあし
一 まさおち
一 しいもしり
一 ゑかるまし
一 まかんな[67]
一 しりおゝい
一 こくめつら
いしかりよりいふつ迄の蝦夷居所[68]
一 ぬまかしら
一 夕はり[69]
一 あつ石
[しこつ]
一 つうさん
一 おさつ
一 いちやり
一 つうめん
一 島まつふ[70]
一 いへちまた[71]
一 ついし狩[72]
一 かばた[73]
一 めいぶつ
一 夕へち[74]
からと島
一 うつしやむ
[こくわの崎]
一 こくわ
一 つなよろ
一 まをか
一 のたしやむ
一 おつちし
一 きどうし
一 いといまて[75]
一 おれかた
一 ちやほこ
一 なふきん
一 にくふん[76]
一 きんちは[77]
一 びんのき[24]
一 うへこたん
一 かれたん
一 せうや
一 しろいところ[78]
一 しいた
一 ないふつ[79]
一 あゆる
[しろいところ]
一 人居村数八拾壱ケ所
一 蝦夷人居所百四拾ケ所
一 惣島数四拾八ケ所[80]
一 田地高無御座候[81]
・朱丸付候は郷帳之後出村[6]
・郷帳之節之村も只今人居無御座候は断書仕候[6]
元禄十三庚辰年正月日 松前志摩守
此郷帳朱点付候分は享保二酉年
順見衆江差出候節書添申候[6]
脚注 [編集]
- ↑ なお北海道大学所蔵『松前嶋郷帳』(旧記0629)の奥書には「札幌市関場不二彦氏所蔵のものを借りて影写す/昭和十一年五月五日」とある。なお旧記0628の『松前島郷帳』は『続々群書類従』において活字翻刻されたものの写しである。
- ↑ ただし「お」と「を」、「い」と「ゐ」など微細な差異については省略した。
- ↑ 「是より津軽三馬屋へ十里程」とある。
- ↑ 「是より津軽深浦江三十五里程」「八月以降渡海不罷成候」とある。
- ↑ 離島として描かれている。
- ↑ 6.00 6.01 6.02 6.03 6.04 6.05 6.06 6.07 6.08 6.09 6.10 6.11 6.12 6.13 6.14 6.15 6.16 6.17 6.18 6.19 6.20 6.21 6.22 幕府巡見使へ提出する際に加筆された箇所であるため『一話一言』所収本および国絵図では該当記述なし。
- ↑ 7.0 7.1 『一話一言』所収本および国絵図では濁点なし。
- ↑ 『一話一言』所収本では「幾よべ村」と表記。
- ↑ 国絵図には「以前はひいし村と申」とある。
- ↑ 10.0 10.1 10.2 10.3 国絵図では「村」の字を欠く。
- ↑ 『一話一言』所収本では「とゞ川村」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「ふるべち村」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本では「つばな村」と表記。
- ↑ 国絵図には「船着」とあり沖に「島」が描かれている。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「とよべ内村」と表記。
- ↑ 国絵図では「大茂内村」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本では「かはじら村」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「くま石村」と表記。
- ↑ 国絵図では「島」の字なし。
- ↑ 国絵図には「松前不動川より是迄廿七里廿二丁」「是より西馬足相叶不申」「道無御座船にて往来仕候」とある。
- ↑ 『一話一言』所収本では「はませたない」と表記。
- ↑ 22.0 22.1 22.2 22.3 『一話一言』所収本では濁点なし。
- ↑ 『一話一言』所収本ではでは該当地名なし。
- ↑ 24.0 24.1 24.2 24.3 国絵図では濁点なし。
- ↑ 『一話一言』所収本では「ざままき」に誤る。国絵図でも「ざまゝき」に誤る。
- ↑ 国絵図では「かつちない」と表記。
- ↑ 国絵図では「おたるない」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「はつしやぶ」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本では「しろの」に誤る。
- ↑ 国絵図ではこの辺りに「川口」を描く。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「ほろとかり」に誤る。
- ↑ 国絵図には「此渡七里程」とある。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「ういべち」と表記。
- ↑ 国絵図には「是よりりいしりへの渡十五里程」とある。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「ばつかいへ」と表記。
- ↑ 原文ママ。国絵図には「てうれ」とありこちらが正しい。
- ↑ 「てうれ」の西に描かれている。
- ↑ 国絵図では「れぶんじり」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「よし岡村」と表記。また国絵図には「以前は大内村」とある。
- ↑ 国絵図には「以前の折か内村と云」とある。
- ↑ 『一話一言』所収本では「いつみ沢村」、国絵図では「泉沢村」と表記。
- ↑ 国絵図ではこの辺りに「入海」が描かれている。
- ↑ 43.0 43.1 国絵図では該当地名なし。
- ↑ 国絵図には「松前大泊川より此迄廿九里廿五丁」「是より馬足相叶不申道無御座候」「船にて往来仕候」とある。
- ↑ 国絵図ではこの辺りに「此浜通昆布有」とある。
- ↑ 「此浜通昆布有」とある。
- ↑ 国絵図では「おさつべ」と表記。
- ↑ 国絵図では「おとしつべ」と表記。
- ↑ 国絵図には「膃肭臍有」とある。
- ↑ 『一話一言』所収本では「みついたし」に誤る。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「うんべち」と表記。
- ↑ 国絵図ではこの辺りに「入海」を描く。
- ↑ 国絵図には「此間瀬戸しつみ岩多有」とある。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「べけるゝ」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「ちべ内」と表記。
- ↑ 国絵図には「是よりくるみせ島に十二、三里」とある。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「ふなべち」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「うらいしべち」と表記。
- ↑ 国絵図では「ゆふべつ」と表記。
- ↑ 国絵図では「をこつへ」と表記。
- ↑ 国絵図では「ほろべち」と表記。
- ↑ 国絵図では「島」とのみ記された離島が3ヶ所に描かれている。
- ↑ 国絵図には「夷あり」とある。
- ↑ 国絵図では「くるみせの島」とあり「夷ありらつこ出る」とある。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「ゑばいと」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「けとない」と表記。
- ↑ 国絵図では「まかんるゝ」とある。
- ↑ 国絵図では3ヶ所に湖を描く。そのうちの2ヶ所は「ぬま」と記され太平洋と川で繋がっている。一方最も大きな残りの1ヶ所には「此ぬま四里四方程」とあり石狩川と繋がっている。
- ↑ 『一話一言』所収本では「夕ばり」、国絵図では「ゆうはり」と表記。
- ↑ 国絵図では「しままつぶ」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本では「いべちまた」と表記。国絵図では「いへらまこ」に誤る。
- ↑ 国絵図では「ついしかり」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本では「かはだ」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本では「夕べち」、国絵図では「夕別」と表記。
- ↑ 国絵図では「いといまん」とある。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「にくぶん」と表記。
- ↑ 『一話一言』所収本および国絵図では「きんちば」と表記。
- ↑ 国絵図では「しろい所」と表記。
- ↑ 国絵図では「ないぶつ」と表記。
- ↑ 国絵図に記載された島の総数と一致し、郷帳に記載された島の総数とは一致しない。
- ↑ 国絵図では他に「一 壱里塚無御座候」とある。
参考文献 [編集]
- 北構保男「“元禄・松前嶋郷帳”について」、『アイヌ民族・オホーツク文化関連研究論文翻訳集』、北地文化研究会、2006年。
- 平凡社地方資料センター編『北海道の地名』(日本歴史地名大系)、平凡社、2003年。ISBN 4-582-49001-8