御山獅子
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御山獅子
作者:竹中墨子
神路山《かみぢやま》、昔に変らぬ杉の枝。萱の御屋根《みやね》に五色《ごしき》の玉も、光をてらす朝日山《あさひやま》、清き流れの五十鈴川《いすずがは》、御裳濯川《みもすそがは》の干網《ほしあみ》の、宇治の里ぞと見渡せば、頃は弥生《やよひ》の賑《にぎは》しき、門に笹たて鈴の音、獅子の舞ぞとうたひつる。山を越したる小田《をだ》の橋。岩戸《いはと》の山に神楽《かぐら》を奏し、二見《ふたみ》の浦の朝景色、岩間に淀む藻塩草《もしほぐさ》、世義寺《せきでら》の夕景色、野辺の螢や美女のの遊び、浮れて汲むや盃《さかづき》の、早や鳥羽口に紅葉《もみぢ》ばの、染めて楽しむ老人《おいびと》の、浅熊山《あさくまやま》眺めも勝る奥の院、晴れ渡りたる富士の白雪。
- 底本: 今井通郎『生田山田両流 箏唄全解』下、武蔵野書院、1975年。
この作品は1899年3月4日以前に公表されたもので、作者の死亡から100年以上経過しているため全世界でパブリックドメインの状態にあります。