国家公務員法

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第一章 総則[編集]

(この法律の目的及び効力)

第一条 
この法律は、国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し、職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。
② この法律は、もつぱら日本国憲法第七十三条にいう官吏に関する事務を掌理する基準を定めるものである。
③ 何人も、故意に、この法律又はこの法律に基づく命令に違反し、又は違反を企て若しくは共謀してはならない。又、何人も、故意に、この法律又はこの法律に基づく命令の施行に関し、虚偽行為をなし、若しくはなそうと企て、又はその施行を妨げてはならない。
④ この法律のある規定が、効力を失い、又はその適用が無効とされても、この法律の他の規定又は他の関係における適用は、その影響を受けることがない。
⑤ この法律の規定が、従前の法律又はこれに基く法令と矛盾し又は触する場合には、この法律の規定が、優先する。

(一般職及び特別職)

第二条 
国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ。
② 一般職は、特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含する。
③ 特別職は、次に掲げる職員の職とする。
一 内閣総理大臣
二 国務大臣
三 人事官及び検査官
四 内閣法制局長官
五 内閣官房副長官
五の二 内閣危機管理監及び内閣情報通信政策監
五の三 国家安全保障局長
五の四 内閣官房副長官補、内閣広報官及び内閣情報官
六 内閣総理大臣補佐官
七 副大臣
七の二 大臣政務官
七の三 大臣補佐官
八 内閣総理大臣秘書官及び国務大臣秘書官並びに特別職たる機関の長の秘書官のうち人事院規則で指定するもの
九 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によることを必要とする職員
十 宮内庁長官、侍従長、東宮大夫、式部官長及び侍従次長並びに法律又は人事院規則で指定する宮内庁のその他の職員
十一 特命全権大使、特命全権公使、特派大使、政府代表、全権委員、政府代表又は全権委員の代理並びに特派大使、政府代表又は全権委員の顧問及び随員
十一の二 日本ユネスコ国内委員会の委員
十二 日本学士院会員
十二の二 日本学術会議会員
十三 裁判官及びその他の裁判所職員
十四 国会職員
十五 国会議員の秘書
十六 防衛省の職員(防衛省に置かれる合議制の機関で防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第四十一条の政令で定めるものの委員及び同法第四条第一項第二十四号又は第二十五号に掲げる事務に従事する職員で同法第四十一条の政令で定めるもののうち、人事院規則で指定するものを除く。)
十七 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人(以下「行政執行法人」という。)の役員
④ この法律の規定は、一般職に属するすべての職(以下その職を官職といい、その職を占める者を職員という。)に、これを適用する。人事院は、ある職が、国家公務員の職に属するかどうか及び本条に規定する一般職に属するか特別職に属するかを決定する権限を有する。
⑤ この法律の規定は、この法律の改正法律により、別段の定がなされない限り、特別職に属する職には、これを適用しない。
⑥ 政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給与を支払つてはならない。
⑦ 前項の規定は、政府又はその機関と外国人の間に、個人的基礎においてなされる勤務の契約には適用されない。

第二章 中央人事行政機関[編集]

(人事院)

第三条 
内閣の所轄の下に人事院を置く。人事院は、この法律に定める基準に従つて、内閣に報告しなければならない。
② 人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告、採用試験(採用試験の対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材に関する事項を除く。)、任免(標準職務遂行能力、採用昇任等基本方針、幹部職員の任用等に係る特例及び幹部候補育成課程に関する事項(第三十三条第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事項であつて、行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用の確保に関するものを含む。)を除く。)、給与(一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第六条の二第一項の規定による指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の決定の方法並びに同法第八条第一項の規定による職務の級の定数の設定及び改定に関する事項を除く。)、研修(第七十条の六第一項第一号に掲げる観点に係るものに限る。)の計画の樹立及び実施並びに当該研修に係る調査研究、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務をつかさどる。
③ 法律により、人事院が処置する権限を与えられている部門においては、人事院の決定及び処分は、人事院によつてのみ審査される。
④ 前項の規定は、法律問題につき裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではない。

(国家公務員倫理審査会)

第三条の二 
前条第二項の所掌事務のうち職務に係る倫理の保持に関する事務を所掌させるため、人事院に国家公務員倫理審査会を置く。
② 国家公務員倫理審査会に関しては、この法律に定めるもののほか、国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)の定めるところによる。

(職員)

第四条 
人事院は、人事官三人をもつて、これを組織する。
② 人事官のうち一人は、総裁として命ぜられる。
③ 人事院は、事務総長及び予算の範囲内においてその職務を適切に行うため必要とする職員を任命する。
④ 人事院は、その内部機構を管理する。国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)は、人事院には適用されない。

(人事官)

第五条 
人事官は、人格が高潔で、民主的な統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があり、かつ、人事行政に関し識見を有する年齢三十五年以上の者のうちから、両議院の同意を経て、内閣が任命する。
② 人事官の任免は、天皇が認証する。
③ 次の各号のいずれかに該当する者は、人事官となることができない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられた者又は第四章に規定する罪を犯し、刑に処せられた者
三 第三十八条第二号又は第四号に該当する者
④ 任命の日以前五年間において、政党の役員、政治的顧問その他これらと同様な政治的影響力を有する政党員であつた者又は任命の日以前五年間において、公選による国若しくは都道府県の公職の候補者となつた者は、人事院規則で定めるところにより、人事官となることができない。
⑤ 人事官の任命については、そのうちの二人が、同一の政党に属し、又は同一の大学学部を卒業した者となることとなつてはならない。

(宣誓及び服務)

第六条 
人事官は、任命後、人事院規則の定めるところにより、最高裁判所長官の面前において、宣誓書に署名してからでなければ、その職務を行つてはならない。
② 第三章第七節の規定は、人事官にこれを準用する。

(任期)

第七条 
人事官の任期は、四年とする。但し、補欠の人事官は、前任者の残任期間在任する。
② 人事官は、これを再任することができる。但し、引き続き十二年を超えて在任することはできない。
③ 人事官であつた者は、退職後一間年は、人事院の官職以外の官職に、これを任命することができない。

(退職及び罷免)

第八条 
人事官は、左の各号の一に該当する場合を除く外、その意に反して罷免されることがない。
一 第五条第三項各号の一に該当するに至つた場合
二 国会の訴追に基き、公開の弾劾手続により罷免を可とすると決定された場合
三 任期が満了して、再任されず又は人事官として引き続き十二年在任するに至つた場合
② 前項第二号の規定による弾劾の事由は、左に掲げるものとする。
一 心身の故障のため、職務の遂行に堪えないこと
二 職務上の義務に違反し、その他人事官たるに適しない非行があること
③ 人事官の中、二人以上が同一の政党に属することとなつた場合においては、これらの者の中一人以外の者は、内閣が両議院の同意を経て、これを罷免するものとする。
④ 前項の規定は、政党所属関係について異動のなかつた人事官の地位に、影響を及ぼすものではない。

(人事官の弾劾)

第九条 
人事官の弾劾の裁判は、最高裁判所においてこれを行う。
② 国会は、人事官の弾劾の訴追をしようとするときは、訴追の事由を記載した書面を最高裁判所に提出しなければならない。
③ 国会は、前項の場合においては、同項に規定する書面の写を訴追に係る人事官に送付しなければならない。
④ 最高裁判所は、第二項の書面を受理した日から三十日以上九十日以内の間において裁判開始の日を定め、その日の三十日以前までに、国会及び訴追に係る人事官に、これを通知しなければならない。
⑤ 最高裁判所は、裁判開始の日から百日以内に判決を行わなければならない。
⑥ 人事官の弾劾の裁判の手続は、裁判所規則でこれを定める。
⑦ 裁判に要する費用は、国庫の負担とする。

(人事官の給与)

第十条 
人事官の給与は、別に法律で定める。

(総裁)

第十一条 
人事院総裁は、人事官の中から、内閣が、これを命ずる。
② 人事院総裁は、院務を総理し、人事院を代表する。
③ 人事院総裁に事故のあるとき、又は人事院総裁が欠けたときは、先任の人事官が、その職務を代行する。

(人事院会議)

第十二条 
定例の人事院会議は、人事院規則の定めるところにより、少なくとも一週間に一回、一定の場所において開催することを常例としなければならない。
② 人事院会議の議事は、すべて議事録として記録しておかなければならない。
③ 前項の議事録は、幹事がこれを作成する。
④ 人事院の事務処理の手続に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。
⑤ 事務総長は、幹事として人事院会議に出席する。
⑥ 人事院は、次に掲げる権限を行う場合においては、人事院の議決を経なければならない。
一 人事院規則の制定及び改廃
二 削除
三 第二十二条の規定による関係大臣その他の機関の長に対する勧告
四 第二十三条の規定による国会及び内閣に対する意見の申出
五 第二十四条の規定による国会及び内閣に対する報告
六 第二十八条の規定による国会及び内閣に対する勧告
七 第四十八条の規定による試験機関の指定
八 第六十条の規定による臨時的任用及びその更新に対する承認、臨時的任用に係る職員の員数の制限及びその資格要件の決定並びに臨時的任用の取消(人事院規則の定める場合を除く。)
九 第六十七条の規定による給与に関する法律に定める事項の改定案の作成並びに国会及び内閣に対する勧告
十 第八十七条の規定による事案の判定
十一 第九十二条の規定による処分の判定
十二 第九十五条の規定による補償に関する重要事項の立案
十三 第百三条第五項の審査請求に対する裁決
十四 第百八条の規定による国会及び内閣に対する意見の申出
十五 第百八条の三第六項の規定による職員団体の登録の効力の停止及び取消し
十六 その他人事院の議決によりその議決を必要とされた事項

(事務総局及び予算)

第十三条 
人事院に事務総局及び法律顧問を置く。
② 事務総局の組織及び法律顧問に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。
③ 人事院は、毎会計年度の開始前に、次の会計年度においてその必要とする経費の要求書を国の予算に計上されるように内閣に提出しなければならない。この要求書には、土地の購入、建物の建造、事務所の借上、家具、備品及び消耗品の購入、俸給及び給料の支払その他必要なあらゆる役務及び物品に関する経費が計上されなければならない。
④ 内閣が、人事院の経費の要求書を修正する場合においては、人事院の要求書は、内閣により修正された要求書とともに、これを国会に提出しなければならない。
⑤ 人事院は、国会の承認を得て、その必要とする地方の事務所を置くことができる。

(事務総長)

第十四条 
事務総長は、総裁の職務執行の補助者となり、その一般的監督の下に、人事院の事務上及び技術上のすべての活動を指揮監督し、人事院の職員について計画を立て、募集、配置及び指揮を行い、又、人事院会議の幹事となる。

(人事院の職員の兼職禁止)

第十五条 
人事官及び事務総長は、他の官職を兼ねてはならない。

(人事院規則及び人事院指令)

第十六条 
人事院は、その所掌事務について、法律を実施するため、又は法律の委任に基づいて、人事院規則を制定し、人事院指令を発し、及び手続を定める。人事院は、いつでも、適宜に、人事院規則を改廃することができる。
② 人事院規則及びその改廃は、官報をもつて、これを公布する。
③ 人事院は、この法律に基いて人事院規則を実施し又はその他の措置を行うため、人事院指令を発することができる。

(人事院の調査)

第十七条 
人事院又はその指名する者は、人事院の所掌する人事行政に関する事項に関し調査することができる。
② 人事院又は前項の規定により指名された者は、同項の調査に関し必要があるときは、証人を喚問し、又調査すべき事項に関係があると認められる書類若しくはその写の提出を求めることができる。
③ 人事院は、第一項の調査(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限る。)に関し必要があると認めるときは、当該調査の対象である職員に出頭を求めて質問し、又は同項の規定により指名された者に、当該職員の勤務する場所(職員として勤務していた場所を含む。)に立ち入らせ、帳簿書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
④ 前項の規定により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
⑤ 第三項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(国家公務員倫理審査会への権限の委任)

第十七条の二 
人事院は、前条の規定による権限(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限り、かつ、第九十条第一項に規定する審査請求に係るものを除く。)を国家公務員倫理審査会に委任する。

(給与の支払の監理)

第十八条 
人事院は、職員に対する給与の支払を監理する。
② 職員に対する給与の支払は、人事院規則又は人事院指令に反してこれを行つてはならない。

(内閣総理大臣)

第十八条の二 
内閣総理大臣は、法律の定めるところに従い、採用試験の対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材に関する事務、標準職務遂行能力、採用昇任等基本方針、幹部職員の任用等に係る特例及び幹部候補育成課程に関する事務(第三十三条第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事務であつて、行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用の確保に関するものを含む。)、一般職の職員の給与に関する法律第六条の二第一項の規定による指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の決定の方法並びに同法第八条第一項の規定による職務の級の定数の設定及び改定に関する事務並びに職員の人事評価(任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。以下同じ。)、研修、能率、厚生、服務、退職管理等に関する事務(第三条第二項の規定により人事院の所掌に属するものを除く。)をつかさどる。
② 内閣総理大臣は、前項に規定するもののほか、各行政機関がその職員について行なう人事管理に関する方針、計画等に関し、その統一保持上必要な総合調整に関する事務をつかさどる。

(内閣総理大臣の調査)

第十八条の三 
内閣総理大臣は、職員の退職管理に関する事項(第百六条の二から第百六条の四までに規定するものに限る。)に関し調査することができる。
② 第十七条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による調査について準用する。この場合において、同条第二項中「人事院又は前項の規定により指名された者は、同項」とあるのは「内閣総理大臣は、第十八条の三第一項」と、同条第三項中「第一項の調査(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限る。)」とあるのは「第十八条の三第一項の調査」と、「対象である職員」とあるのは「対象である職員若しくは職員であつた者」と、「同項の規定により指名された者に、当該職員」とあるのは「当該職員」と、「立ち入らせ」とあるのは「立ち入り」と、「検査させ、又は関係者に質問させる」とあるのは「検査し、若しくは関係者に質問する」と読み替えるものとする。

(再就職等監視委員会への権限の委任)

第十八条の四 
内閣総理大臣は、前条の規定による権限を再就職等監視委員会に委任する。

(内閣総理大臣の援助等)

第十八条の五 
内閣総理大臣は、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。
② 内閣総理大臣は、官民の人材交流(国と民間企業との間の人事交流に関する法律(平成十一年法律第二百二十四号)第二条第三項に規定する交流派遣及び民間企業に現に雇用され、又は雇用されていた者の職員への第三十六条ただし書の規定による採用その他これらに準ずるものとして政令で定めるものをいう。第五十四条第二項第七号において同じ。)の円滑な実施のための支援を行う。

(官民人材交流センターへの事務の委任)

第十八条の六 
内閣総理大臣は、前条に規定する事務を官民人材交流センターに委任する。
② 内閣総理大臣は、前項の規定により委任する事務について、その運営に関する指針を定め、これを公表する。

(官民人材交流センター)

第十八条の七 
内閣府に、官民人材交流センターを置く。
② 官民人材交流センターは、この法律及び他の法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
③ 官民人材交流センターの長は、官民人材交流センター長とし、内閣官房長官をもつて充てる。
④ 官民人材交流センター長は、官民人材交流センターの事務を統括する。
⑤ 官民人材交流センター長は、官民人材交流センターの所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求め、又は意見を述べることができる。
⑥ 官民人材交流センターに、官民人材交流副センター長を置く。
⑦ 官民人材交流副センター長は、官民人材交流センター長の職務を助ける。
⑧ 官民人材交流センターに、所要の職員を置く。
⑨ 内閣総理大臣は、官民人材交流センターの所掌事務の全部又は一部を分掌させるため、所要の地に、官民人材交流センターの支所を置くことができる。
⑩ 第三項から前項までに定めるもののほか、官民人材交流センターの組織に関し必要な事項は、政令で定める。

(人事記録)

第十九条 
内閣総理大臣は、職員の人事記録に関することを管理する。
② 内閣総理大臣は、内閣府、各省その他の機関をして、当該機関の職員の人事に関する一切の事項について、人事記録を作成し、これを保管せしめるものとする。
③ 人事記録の記載事項及び様式その他人事記録に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
④ 内閣総理大臣は、内閣府、各省その他の機関によつて作成保管された人事記録で、前項の規定による政令に違反すると認めるものについて、その改訂を命じ、その他所要の措置をなすことができる。

(統計報告)

第二十条 
内閣総理大臣は、政令の定めるところにより、職員の在職関係に関する統計報告の制度を定め、これを実施するものとする。
② 内閣総理大臣は、前項の統計報告に関し必要があるときは、関係庁に対し随時又は定期に一定の形式に基いて、所要の報告を求めることができる。

(権限の委任)

第二十一条 
人事院又は内閣総理大臣は、それぞれ人事院規則又は政令の定めるところにより、この法律に基づく権限の一部を他の機関をして行なわせることができる。この場合においては、人事院又は内閣総理大臣は、当該事務に関し、他の機関の長を指揮監督することができる。

(人事行政改善の勧告)

第二十二条 
人事院は、人事行政の改善に関し、関係大臣その他の機関の長に勧告することができる。
② 前項の場合においては、人事院は、その旨を内閣に報告しなければならない。

(法令の制定改廃に関する意見の申出)

第二十三条 
人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に同時に申し出なければならない。

(人事院規則の制定改廃に関する内閣総理大臣からの要請)

第二十三条の二 
内閣総理大臣は、この法律の目的達成上必要があると認めるときは、人事院に対し、人事院規則を制定し、又は改廃することを要請することができる。
② 内閣総理大臣は、前項の規定による要請をしたときは、速やかに、その内容を公表するものとする。

(業務の報告)

第二十四条 
人事院は、毎年、国会及び内閣に対し、業務の状況を報告しなければならない。
② 内閣は、前項の報告を公表しなければならない。

(人事管理官)

第二十五条 
内閣府及び各省並びに政令で指定するその他の機関には、人事管理官を置かなければならない。
② 人事管理官は、人事に関する部局の長となり、前項の機関の長を助け、人事に関する事務を掌る。この場合において、人事管理官は、中央人事行政機関との緊密な連絡及びこれに対する協力につとめなければならない。
第二十六条 
削除

第三章 職員に適用される基準[編集]

第一節 通則[編集]

(平等取扱いの原則)

第二十七条 
全て国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われ、人種、信条、性別、社会的身分、門地又は第三十八条第四号に該当する場合を除くほか政治的意見若しくは政治的所属関係によつて、差別されてはならない。

(人事管理の原則)

第二十七条の二 
職員の採用後の任用、給与その他の人事管理は、職員の採用年次、合格した採用試験の種類及び第六十一条の九第二項第二号に規定する課程対象者であるか否か又は同号に規定する課程対象者であつたか否かにとらわれてはならず、この法律に特段の定めがある場合を除くほか、人事評価に基づいて適切に行われなければならない。

(情勢適応の原則)

第二十八条 
この法律及び他の法律に基づいて定められる職員の給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠つてはならない。
② 人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。給与を決定する諸条件の変化により、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。
第二十九条 
削除
第三十条 
削除
第三十一条 
削除
第三十二条 
削除

第二節 採用試験及び任免[編集]

(任免の根本基準)

第三十三条 
職員の任用は、この法律の定めるところにより、その者の受験成績、人事評価又はその他の能力の実証に基づいて行わなければならない。
② 前項に規定する根本基準の実施に当たつては、次に掲げる事項が確保されなければならない。
一 職員の公正な任用
二 行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用
③ 職員の免職は、法律に定める事由に基づいてこれを行わなければならない。
④ 第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事項であつて第二項第一号に掲げる事項の確保に関するもの及び前項に規定する根本基準の実施につき必要な事項は、この法律に定めのあるものを除いては、人事院規則でこれを定める。
第三十三条の二 第五十四条第一項に規定する採用昇任等基本方針には、前条第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事項であつて同条第二項第二号に掲げる事項の確保に関するものとして、職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用の確保に資する基本的事項を定めるものとする。

第一款 通則[編集]

(定義)

第三十四条 
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 採用 職員以外の者を官職に任命すること(臨時的任用を除く。)をいう。
二 昇任 職員をその職員が現に任命されている官職より上位の職制上の段階に属する官職に任命することをいう。
三 降任 職員をその職員が現に任命されている官職より下位の職制上の段階に属する官職に任命することをいう。
四 転任 職員をその職員が現に任命されている官職以外の官職に任命することであつて前二号に定めるものに該当しないものをいう。
五 標準職務遂行能力 職制上の段階の標準的な官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力として内閣総理大臣が定めるものをいう。
六 幹部職員 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第五十条若しくは国家行政組織法第六条に規定する長官、同法第十八条第一項に規定する事務次官若しくは同法第二十一条第一項に規定する局長若しくは部長の官職又はこれらの官職に準ずる官職であつて政令で定めるもの(以下「幹部職」という。)を占める職員をいう。
七 管理職員 国家行政組織法第二十一条第一項に規定する課長若しくは室長の官職又はこれらの官職に準ずる官職であつて政令で定めるもの(以下「管理職」という。)を占める職員をいう。
② 前項第五号の標準的な官職は、係員、係長、課長補佐、課長その他の官職とし、職制上の段階及び職務の種類に応じ、政令で定める。

(欠員補充の方法)

第三十五条 
官職に欠員を生じた場合においては、その任命権者は、法律又は人事院規則に別段の定のある場合を除いては、採用、昇任、降任又は転任のいずれか一の方法により、職員を任命することができる。但し、人事院が特別の必要があると認めて任命の方法を指定した場合は、この限りではない。

(採用の方法)

第三十六条 
職員の採用は、競争試験によるものとする。ただし、係員の官職(第三十四条第二項に規定する標準的な官職が係員である職制上の段階に属する官職その他これに準ずる官職として人事院規則で定めるものをいう。第四十五条の二第一項において同じ。)以外の官職に採用しようとする場合又は人事院規則で定める場合には、競争試験以外の能力の実証に基づく試験(以下「選考」という。)の方法によることを妨げない。
第三十七条 
削除

(欠格条項)

第三十八条 
次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則で定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
二 懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
三 人事院の人事官又は事務総長の職にあつて、第百九条から第百十二条までに規定する罪を犯し、刑に処せられた者
四 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

(人事に関する不法行為の禁止)

第三十九条 
何人も、次の各号のいずれかに該当する事項を実現するために、金銭その他の利益を授受し、提供し、要求し、若しくは授受を約束したり、脅迫、強制その他これに類する方法を用いたり、直接たると間接たるとを問わず、公の地位を利用し、又はその利用を提供し、要求し、若しくは約束したり、あるいはこれらの行為に関与してはならない。
一 退職若しくは休職又は任用の不承諾
二 採用のための競争試験(以下「採用試験」という。)若しくは任用の志望の撤回又は任用に対する競争の中止
三 任用、昇給、留職その他官職における利益の実現又はこれらのことの推薦

(人事に関する虚偽行為の禁止)

第四十条 
何人も、採用試験、選考、任用又は人事記録に関して、虚偽又は不正の陳述、記載、証明、採点、判断又は報告を行つてはならない。

(受験又は任用の阻害及び情報提供の禁止)

第四十一条 
試験機関に属する者その他の職員は、受験若しくは任用を阻害し、又は受験若しくは任用に不当な影響を与える目的を以て特別若しくは秘密の情報を提供してはならない。

第二款 採用試験[編集]

(採用試験の実施)

第四十二条 
採用試験は、この法律に基づく命令で定めるところにより、これを行う。

(受験の欠格条項)

第四十三条 
第四十四条に規定する資格に関する制限の外、官職に就く能力を有しない者は、受験することができない。

(受験の資格要件)

第四十四条 
人事院は、人事院規則により、受験者に必要な資格として官職に応じ、その職務の遂行に欠くことのできない最小限度の客観的且つ画一的な要件を定めることができる。

(採用試験の内容)

第四十五条 
採用試験は、受験者が、当該採用試験に係る官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該採用試験に係る官職についての適性を有するかどうかを判定することをもつてその目的とする。

(採用試験における対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材)

第四十五条の二 
採用試験は、次に掲げる官職を対象として行うものとする。
一 係員の官職のうち、政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務をその職務とする官職その他これらに類する官職であつて政令で定めるもの(第三号に掲げるものを除く。)
二 定型的な事務をその職務とする係員の官職その他の係員の官職(前号及び次号に掲げるものを除く。)
三 係員の官職のうち、特定の行政分野に係る専門的な知識を必要とする事務をその職務とする官職として政令で定めるもの
四 係員の官職より上位の職制上の段階に属する官職のうち、民間企業における実務の経験その他これに類する経験を有する者を採用することが適当なものとして政令で定めるもの
② 採用試験の種類は、次に掲げるとおりとする。
一 総合職試験(前項第一号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であつて、一定の範囲の知識、技術その他の能力(以下この項において「知識等」という。)を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験
二 一般職試験(前項第二号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であつて、一定の範囲の知識等を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験
三 専門職試験(前項第三号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であつて、同号に規定する特定の行政分野に応じて一定の範囲の知識等を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験
四 経験者採用試験(前項第四号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であつて、同号に規定する職制上の段階その他の官職に係る分類に応じて一定の範囲の知識等を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験
③ 採用試験により確保すべき人材に関する事項は、前項各号に掲げる採用試験の種類ごとに、政令で定める。
④ 前三項の政令は、人事院の意見を聴いて定めるものとする。

(採用試験の方法等)

第四十五条の三 
採用試験の方法、試験科目、合格者の決定の方法その他採用試験に関する事項については、この法律に定めのあるものを除いては、前条第二項各号に掲げる採用試験の種類に応じ、人事院規則で定める。

(採用試験の公開平等)

第四十六条 
採用試験は、人事院規則の定める受験の資格を有するすべての国民に対して、平等の条件で公開されなければならない。

(採用試験の告知)

第四十七条 
採用試験の告知は、公告によらなければならない。
② 前項の告知には、その採用試験に係る官職についての職務及び責任の概要及び給与、受験の資格要件、採用試験の時期及び場所、願書の入手及び提出の場所、時期及び手続その他の必要な受験手続並びに人事院が必要と認めるその他の注意事項を記載するものとする。
③ 第一項の規定による公告は、人事院規則の定めるところにより、受験の資格を有するすべての者に対し、受験に必要な事項を周知させることができるように、これを行わなければならない。
④ 人事院は、受験の資格を有すると認められる者が受験するように、常に努めなければならない。
⑤ 人事院は、公告された採用試験又は実施中の採用試験を、取り消し又は変更することができる。

(試験機関)

第四十八条 
採用試験は、人事院規則の定めるところにより、人事院の定める試験機関が、これを行う。

(採用試験の時期及び場所)

第四十九条 
採用試験の時期及び場所は、国内の受験資格者が、無理なく受験することができるように、これを定めなければならない。

第三款 採用候補者名簿[編集]

(名簿の作成)

第五十条 
採用試験による職員の採用については、人事院規則の定めるところにより、採用候補者名簿を作成するものとする。

(採用候補者名簿に記載される者)

第五十一条 
採用候補者名簿には、当該官職に採用することができる者として、採用試験において合格点以上を得た者の氏名及び得点を記載するものとする。

(名簿の閲覧)

第五十二条 
採用候補者名簿は、受験者、任命権者その他関係者の請求に応じて、常に閲覧に供されなければならない。

(名簿の失効)

第五十三条 
採用候補者名簿が、その作成後一年以上を経過したとき、又は人事院の定める事由に該当するときは、いつでも、人事院は、任意に、これを失効させることができる。

第四款 任用[編集]

(採用昇任等基本方針)

第五十四条 
内閣総理大臣は、公務の能率的な運営を確保する観点から、あらかじめ、次条第一項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者と協議して職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用を確保するための基本的な方針(以下「採用昇任等基本方針」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
② 採用昇任等基本方針には、第三十三条の二に規定する基本的事項のほか、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用に関する基本的な指針
二 第五十六条の採用候補者名簿による採用及び第五十七条の選考による採用に関する指針
三 第五十八条の昇任及び転任に関する指針
四 管理職への任用に関する基準その他の指針
五 任命権者を異にする官職への任用に関する指針
六 職員の公募(官職の職務の具体的な内容並びに当該官職に求められる能力及び経験を公示して、当該官職の候補者を募集することをいう。次項において同じ。)に関する指針
七 官民の人材交流に関する指針
八 子の養育又は家族の介護を行う職員の状況を考慮した職員の配置その他の措置による仕事と生活の調和を図るための指針
九 前各号に掲げるもののほか、職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用を確保するために必要な事項
③ 前項第六号の指針を定めるに当たつては、犯罪の捜査その他特殊性を有する職務の官職についての公募の制限に関する事項その他職員の公募の適正を確保するために必要な事項に配慮するものとする。
④ 内閣総理大臣は、第一項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、採用昇任等基本方針を公表しなければならない。
⑤ 第一項及び前項の規定は、採用昇任等基本方針の変更について準用する。
⑥ 任命権者は、採用昇任等基本方針に沿つて、職員の採用、昇任、降任及び転任を行わなければならない。

(任命権者)

第五十五条 
任命権は、法律に別段の定めのある場合を除いては、内閣、各大臣(内閣総理大臣及び各省大臣をいう。以下同じ。)、会計検査院長及び人事院総裁並びに宮内庁長官及び各外局の長に属するものとする。これらの機関の長の有する任命権は、その部内の機関に属する官職に限られ、内閣の有する任命権は、その直属する機関(内閣府を除く。)に属する官職に限られる。ただし、外局の長(国家行政組織法第七条第五項に規定する実施庁以外の庁にあつては、外局の幹部職)に対する任命権は、各大臣に属する。
② 前項に規定する機関の長たる任命権者は、幹部職以外の官職(内閣が任命権を有する場合にあつては、幹部職を含む。)の任命権を、その部内の上級の国家公務員(内閣が任命権を有する幹部職にあつては、内閣総理大臣又は国務大臣)に限り委任することができる。この委任は、その効力が発生する日の前に、書面をもつて、これを人事院に提示しなければならない。
③ この法律、人事院規則及び人事院指令に規定する要件を備えない者は、これを任命し、雇用し、昇任させ若しくは転任させてはならず、又はいかなる官職にも配置してはならない。

(採用候補者名簿による採用)

第五十六条 
採用候補者名簿による職員の採用は、任命権者が、当該採用候補者名簿に記載された者の中から、面接を行い、その結果を考慮して行うものとする。

(選考による採用)

第五十七条 
選考による職員の採用(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)は、任命権者が、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。

(昇任、降任及び転任)

第五十八条 
職員の昇任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)は、任命権者が、職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
② 任命権者は、職員を降任させる場合(職員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)には、当該職員の人事評価に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を有すると認められる官職に任命するものとする。
③ 国際機関又は民間企業に派遣されていたこと等の事情により、人事評価が行われていない職員の昇任、降任及び転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)については、前二項の規定にかかわらず、任命権者が、人事評価以外の能力の実証に基づき、任命しようとする官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする官職についての適性を判断して行うことができる。

(条件附任用期間)

第五十九条 
一般職に属するすべての官職に対する職員の採用又は昇任は、すべて条件附のものとし、その職員が、その官職において六月を下らない期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに、正式のものとなるものとする。
② 条件附採用に関し必要な事項又は条件附採用期間であつて六月をこえる期間を要するものについては、人事院規則でこれを定める。

(臨時的任用)

第六十条 
任命権者は、人事院規則の定めるところにより、緊急の場合、臨時の官職に関する場合又は採用候補者名簿がない場合には、人事院の承認を得て、六月を超えない任期で、臨時的任用を行うことができる。この場合において、その任用は、人事院規則の定めるところにより人事院の承認を得て、六月の期間で、これを更新することができるが、再度更新することはできない。
② 人事院は、臨時的任用につき、その員数を制限し、又は、任用される者の資格要件を定めることができる。
③ 人事院は、前二項の規定又は人事院規則に違反する臨時的任用を取り消すことができる。
④ 臨時的任用は、任用に際して、いかなる優先権をも与えるものではない。
⑤ 前各項に定めるもののほか、臨時的に任用された者に対しては、この法律及び人事院規則を適用する。

第五款 休職、復職、退職及び免職[編集]

(休職、復職、退職及び免職)

第六十一条 
職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。

第六款 幹部職員の任用等に係る特例[編集]

(適格性審査及び幹部候補者名簿)

第六十一条の二 
内閣総理大臣は、次に掲げる者について、政令で定めるところにより、幹部職(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十条の二第一項第六号に規定する幹部職を含む。以下この条において同じ。)に属する官職(同項第二号に規定する自衛官以外の隊員が占める職を含む。次項及び第六十一条の十一において同じ。)に係る標準職務遂行能力(同法第三十条の二第一項第五号に規定する標準職務遂行能力を含む。次項において同じ。)を有することを確認するための審査(以下「適格性審査」という。)を公正に行うものとする。
一 幹部職員(自衛隊法第三十条の二第一項第六号に規定する幹部隊員を含む。以下この項及び第六十一条の九第一項において同じ。)
二 幹部職員以外の者であつて、幹部職の職責を担うにふさわしい能力を有すると見込まれる者として任命権者(自衛隊法第三十一条第一項の規定により同法第二条第五項に規定する隊員(以下「自衛隊員」という。)の任免について権限を有する者を含む。第三項及び第四項、第六十一条の六並びに第六十一条の十一において同じ。)が内閣総理大臣に推薦した者
三 前二号に掲げる者に準ずる者として政令で定める者
② 内閣総理大臣は、適格性審査の結果、幹部職に属する官職に係る標準職務遂行能力を有することを確認した者について、政令で定めるところにより、氏名その他政令で定める事項を記載した名簿(以下「幹部候補者名簿」という。)を作成するものとする。
③ 内閣総理大臣は、任命権者の求めがある場合には、政令で定めるところにより、当該任命権者に対し、幹部候補者名簿を提示するものとする。
④ 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、定期的に、及び任命権者の求めがある場合その他必要があると認める場合には随時、適格性審査を行い、幹部候補者名簿を更新するものとする。
⑤ 内閣総理大臣は、前各項の規定による権限を内閣官房長官に委任する。
⑥ 第一項各号列記以外の部分及び第二項から第四項までの政令は、人事院の意見を聴いて定めるものとする。

(幹部候補者名簿に記載されている者の中からの任用)

第六十一条の三 
選考による職員の採用であつて、幹部職への任命に該当するものは、任命権者が、幹部候補者名簿に記載されている者であつて、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
② 職員の昇任及び転任であつて、幹部職への任命に該当するものは、任命権者が、幹部候補者名簿に記載されている者であつて、職員の人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。
③ 任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている職員の降任であつて、幹部職への任命に該当するものを行う場合には、当該職員の人事評価に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を有すると認められる幹部職に任命するものとする。
④ 国際機関又は民間企業に派遣されていたこと等の事情により人事評価が行われていない職員のうち、幹部候補者名簿に記載されている者の昇任、降任又は転任であつて、幹部職への任命に該当するものについては、任命権者が、前二項の規定にかかわらず、人事評価以外の能力の実証に基づき、当該任命しようとする幹部職についての適性を判断して行うことができる。

(内閣総理大臣及び内閣官房長官との協議に基づく任用等)

第六十一条の四 
任命権者は、職員の選考による採用、昇任、転任及び降任であつて幹部職への任命に該当するもの、幹部職員の幹部職以外の官職への昇任、転任及び降任並びに幹部職員の退職(政令で定めるものに限る。第四項において同じ。)及び免職(以下この条において「採用等」という。)を行う場合には、政令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議した上で、当該協議に基づいて行うものとする。
② 前項の場合において、災害その他緊急やむを得ない理由により、あらかじめ内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議する時間的余裕がないときは、任命権者は、同項の規定にかかわらず、当該協議を行うことなく、職員の採用等を行うことができる。
③ 任命権者は、前項の規定により職員の採用等を行つた場合には、内閣総理大臣及び内閣官房長官に通知するとともに、遅滞なく、当該採用等について、政令で定めるところにより、内閣総理大臣及び内閣官房長官に協議し、当該協議に基づいて必要な措置を講じなければならない。
④ 内閣総理大臣又は内閣官房長官は、幹部職員について適切な人事管理を確保するために必要があると認めるときは、任命権者に対し、幹部職員の昇任、転任、降任、退職及び免職(以下この項において「昇任等」という。)について協議を求めることができる。この場合において、協議が調つたときは、任命権者は、当該協議に基づいて昇任等を行うものとする。

(管理職への任用に関する運用の管理)

第六十一条の五 
任命権者は、政令で定めるところにより、定期的に、及び内閣総理大臣の求めがある場合には随時、管理職への任用の状況を内閣総理大臣に報告するものとする。
② 内閣総理大臣は、第五十四条第二項第四号の基準に照らして必要があると認める場合には、任命権者に対し、管理職への任用に関する運用の改善その他の必要な措置をとることを求めることができる。

(任命権者を異にする管理職への任用に係る調整)

第六十一条の六 
内閣総理大臣は、任命権者を異にする管理職(自衛隊法第三十条の二第一項第七号に規定する管理職を含む。)への任用の円滑な実施に資するよう、任命権者に対する情報提供、任命権者相互間の情報交換の促進その他の必要な調整を行うものとする。

(人事に関する情報の管理)

第六十一条の七 
内閣総理大臣は、この款及び次款の規定の円滑な運用を図るため、内閣府、各省その他の機関に対し、政令で定めるところにより、当該機関の幹部職員、管理職員、第六十一条の九第二項第二号に規定する課程対象者その他これらに準ずる職員として政令で定めるものの人事に関する情報の提供を求めることができる。
② 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、前項の規定により提出された情報を適正に管理するものとする。

(特殊性を有する幹部職等の特例)

第六十一条の八 
法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣法制局及び内閣府を除く。以下この項において「内閣の直属機関」という。)、人事院、検察庁及び会計検査院の官職(当該官職が内閣の直属機関に属するものであつて、その任命権者が内閣の委任を受けて任命権を行う者であるものを除く。)については、第六十一条の二から第六十一条の五までの規定は適用せず、第五十七条、第五十八条及び前条第一項の規定の適用については、第五十七条中「採用(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「採用」と、第五十八条第一項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、同条第二項中「降任させる場合(職員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)」とあるのは「降任させる場合」と、同条第三項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、前条第一項中「、政令」とあるのは「、当該機関の職員が適格性審査を受ける場合その他の必要がある場合として政令で定める場合に限り、政令」とする。
② 警察庁の官職については、第六十一条の二、第六十一条の三、第六十一条の四第四項及び第六十一条の五の規定は適用せず、第五十七条、第五十八条、第六十一条の四第一項から第三項まで及び前条第一項の規定の適用については、第五十七条中「採用(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「採用」と、第五十八条第一項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、同条第二項中「降任させる場合(職員の幹部職への任命に該当する場合を除く。)」とあるのは「降任させる場合」と、同条第三項中「転任(職員の幹部職への任命に該当するものを除く。)」とあるのは「転任」と、第六十一条の四第一項中「に協議した上で、当該協議に基づいて行う」とあるのは「(任命権者が警察庁長官である場合にあつては、国家公安委員会を通じて内閣総理大臣及び内閣官房長官)に通知するものとする。この場合において、内閣総理大臣及び内閣官房長官は、任命権者(任命権者が警察庁長官である場合にあつては、国家公安委員会を通じて任命権者)に対し、当該幹部職に係る標準職務遂行能力を有しているか否かの観点から意見を述べることができる」と、同条第二項中「に協議する」とあるのは「(任命権者が警察庁長官である場合にあつては、国家公安委員会を通じて内閣総理大臣及び内閣官房長官)に通知する」と、「当該協議」とあるのは「当該通知」と、同条第三項中「内閣総理大臣及び内閣官房長官に通知するとともに、遅滞なく」とあるのは「遅滞なく」と、「に協議し、当該協議に基づいて必要な措置を講じなければならない」とあるのは「(任命権者が警察庁長官である場合にあつては、国家公安委員会を通じて内閣総理大臣及び内閣官房長官)に通知しなければならない。この場合において、内閣総理大臣及び内閣官房長官は、任命権者(任命権者が警察庁長官である場合にあつては、国家公安委員会を通じて任命権者)に対し、当該幹部職に係る標準職務遂行能力を有しているか否かの観点から意見を述べることができるものとする」と、前条第一項中「、政令」とあるのは「、当該機関の職員が適格性審査を受ける場合その他の必要がある場合として政令で定める場合に限り、政令」とする。
③ 内閣法制局、宮内庁、外局として置かれる委員会(政令で定めるものを除く。)及び国家行政組織法第七条第五項に規定する実施庁の幹部職(これらの機関の長を除く。)については、第六十一条の四第四項の規定は適用せず、同条第一項及び第三項の規定の適用については、同条第一項中「内閣総理大臣」とあるのは「任命権者の属する機関に係る事項についての内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣(第三項において単に「主任の大臣」という。)を通じて内閣総理大臣」と、同条第三項中「内閣総理大臣」とあるのは「主任の大臣を通じて内閣総理大臣」とする。

第七款 幹部候補育成課程[編集]

(運用の基準)

第六十一条の九 
内閣総理大臣、各省大臣(自衛隊法第三十一条第一項の規定により自衛隊員の任免について権限を有する防衛大臣を含む。)、会計検査院長、人事院総裁その他機関の長であつて政令で定めるもの(以下この条及び次条において「各大臣等」という。)は、幹部職員の候補となり得る管理職員(同法第三十条の二第一項第七号に規定する管理隊員を含む。次項において同じ。)としてその職責を担うにふさわしい能力及び経験を有する職員(自衛隊員(自衛官を除く。)を含む。同項において同じ。)を育成するための課程(以下「幹部候補育成課程」という。)を設け、内閣総理大臣の定める基準に従い、運用するものとする。
② 前項の基準においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 各大臣等が、その職員であつて、採用後、一定期間勤務した経験を有するものの中から、本人の希望及び人事評価(自衛隊法第三十一条第三項に規定する人事評価を含む。次号において同じ。)に基づいて、幹部候補育成課程における育成の対象となるべき者を随時選定すること。
二 各大臣等が、前号の規定により選定した者(以下「課程対象者」という。)について、人事評価に基づいて、引き続き課程対象者とするかどうかを定期的に判定すること。
三 各大臣等が、課程対象者に対し、管理職員に求められる政策の企画立案及び業務の管理に係る能力の育成を目的とした研修(政府全体を通ずるものを除く。)を実施すること。
四 各大臣等が、課程対象者に対し、管理職員に求められる政策の企画立案及び業務の管理に係る能力の育成を目的とした研修であつて、政府全体を通ずるものとして内閣総理大臣が企画立案し、実施するものを受講させること。
五 各大臣等が、課程対象者に対し、国の複数の行政機関又は国以外の法人において勤務させることにより、多様な勤務を経験する機会を付与すること。
六 第三号の研修の実施及び前号の機会の付与に当たつては、次に掲げる事項を行うよう努めること。
イ 民間企業その他の法人における勤務の機会を付与すること。
ロ 国際機関、在外公館その他の外国に所在する機関における勤務又は海外への留学の機会を付与すること。
ハ 所掌事務に係る専門性の向上を目的とした研修を実施し、又はその向上に資する勤務の機会を付与すること。
七 前各号に掲げるもののほか、幹部候補育成課程に関する政府全体としての統一性を確保するために必要な事項

(運用の管理)

第六十一条の十 
各大臣等(会計検査院長及び人事院総裁を除く。次項において同じ。)は、政令で定めるところにより、定期的に、及び内閣総理大臣の求めがある場合には随時、幹部候補育成課程の運用の状況を内閣総理大臣に報告するものとする。
② 内閣総理大臣は、前条第一項の基準に照らして必要があると認める場合には、各大臣等に対し、幹部候補育成課程の運用の改善その他の必要な措置をとることを求めることができる。

(任命権者を異にする任用に係る調整)

第六十一条の十一 
第六十一条の六の規定は、任命権者を異にする官職への課程対象者の任用について準用する。

第三節 給与[編集]

(給与の根本基準)

第六十二条 
職員の給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなす。

第一款 通則[編集]

(法律による給与の支給)

第六十三条 
職員の給与は、別に定める法律に基づいてなされ、これに基づかずには、いかなる金銭又は有価物も支給することはできない。

(俸給表)

第六十四条 
前条に規定する法律(以下「給与に関する法律」という。)には、俸給表が規定されなければならない。
② 俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、かつ、等級ごとに明確な俸給額の幅を定めていなければならない。

(給与に関する法律に定めるべき事項)

第六十五条 
給与に関する法律には、前条の俸給表のほか、次に掲げる事項が規定されなければならない。
一 初任給、昇給その他の俸給の決定の基準に関する事項
二 官職又は勤務の特殊性を考慮して支給する給与に関する事項
三 親族の扶養その他職員の生計の事情を考慮して支給する給与に関する事項
四 地域の事情を考慮して支給する給与に関する事項
五 時間外勤務、夜間勤務及び休日勤務に対する給与に関する事項
六 一定の期間における勤務の状況を考慮して年末等に特別に支給する給与に関する事項
七 常時勤務を要しない官職を占める職員の給与に関する事項
② 前項第一号の基準は、勤続期間、勤務能率その他勤務に関する諸要件を考慮して定められるものとする。
第六十六条 
削除

(給与に関する法律に定める事項の改定)

第六十七条 
人事院は、第二十八条第二項の規定によるもののほか、給与に関する法律に定める事項に関し、常時、必要な調査研究を行い、これを改定する必要を認めたときは、遅滞なく改定案を作成して、国会及び内閣に勧告をしなければならない。

第二款 給与の支払[編集]

(給与簿)

第六十八条 
職員に対して給与の支払をなす者は、先づ受給者につき給与簿を作成しなければならない。
② 給与簿は、何時でも人事院の職員が検査し得るようにしておかなければならない。
③ 前二項に定めるものを除いては、給与簿に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。

(給与簿の検査)

第六十九条 
職員の給与が法令、人事院規則又は人事院指令に適合して行われることを確保するため必要があるときは、人事院は給与簿を検査し、必要があると認めるときは、その是正を命ずることができる。

(違法の支払に対する措置)

第七十条 
人事院は、給与の支払が、法令、人事院規則又は人事院指令に違反してなされたことを発見した場合には、自己の権限に属する事項については自ら適当な措置をなす外、必要があると認めるときは、事の性質に応じて、これを会計検査院に報告し、又は検察官に通報しなければならない。

第四節 人事評価[編集]

(人事評価の根本基準)

第七十条の二 
職員の人事評価は、公正に行われなければならない。

(人事評価の実施)

第七十条の三 
職員の執務については、その所轄庁の長は、定期的に人事評価を行わなければならない。
② 人事評価の基準及び方法に関する事項その他人事評価に関し必要な事項は、人事院の意見を聴いて、政令で定める。

(人事評価に基づく措置)

第七十条の四 
所轄庁の長は、前条第一項の人事評価の結果に応じた措置を講じなければならない。
② 内閣総理大臣は、勤務成績の優秀な者に対する表彰に関する事項及び成績の著しく不良な者に対する矯正方法に関する事項を立案し、これについて、適当な措置を講じなければならない。

第四節の二 研修[編集]

(研修の根本基準)

第七十条の五 
研修は、職員に現在就いている官職又は将来就くことが見込まれる官職の職務の遂行に必要な知識及び技能を習得させ、並びに職員の能力及び資質を向上させることを目的とするものでなければならない。
② 前項の根本基準の実施につき必要な事項は、この法律に定めのあるものを除いては、人事院の意見を聴いて政令で定める。
③ 人事院及び内閣総理大臣は、それぞれの所掌事務に係る研修による職員の育成について調査研究を行い、その結果に基づいて、それぞれの所掌事務に係る研修について適切な方策を講じなければならない。

(研修計画)

第七十条の六 
人事院、内閣総理大臣及び関係庁の長は、前条第一項に規定する根本基準を達成するため、職員の研修(人事院にあつては第一号に掲げる観点から行う研修とし、内閣総理大臣にあつては第二号に掲げる観点から行う研修とし、関係庁の長にあつては第三号に掲げる観点から行う研修とする。)について計画を樹立し、その実施に努めなければならない。
一 国民全体の奉仕者としての使命の自覚及び多角的な視点等を有する職員の育成並びに研修の方法に関する専門的知見を活用して行う職員の効果的な育成
二 各行政機関の課程対象者の政府全体を通じた育成又は内閣の重要政策に関する理解を深めることを通じた行政各部の施策の統一性の確保
三 行政機関が行うその職員の育成又は行政機関がその所掌事務について行うその職員及び他の行政機関の職員に対する知識及び技能の付与
② 前項の計画は、同項の目的を達成するために必要かつ適切な職員の研修の機会が確保されるものでなければならない。
③ 内閣総理大臣は、第一項の規定により内閣総理大臣及び関係庁の長が行う研修についての計画の樹立及び実施に関し、その総合的企画及び関係各庁に対する調整を行う。
④ 内閣総理大臣は、前項の総合的企画に関連して、人事院に対し、必要な協力を要請することができる。
⑤ 人事院は、第一項の計画の樹立及び実施に関し、その監視を行う。

(研修に関する報告要求等)

第七十条の七 
人事院は、内閣総理大臣又は関係庁の長に対し、人事院規則の定めるところにより、前条第一項の計画に基づく研修の実施状況について報告を求めることができる。
② 人事院は、内閣総理大臣又は関係庁の長が法令に違反して前条第一項の計画に基づく研修を行つた場合には、その是正のため必要な指示を行うことができる。

第五節 能率[編集]

(能率の根本基準)

第七十一条 
職員の能率は、充分に発揮され、且つ、その増進がはかられなければならない。
② 前項の根本基準の実施につき、必要な事項は、この法律に定めるものを除いては、人事院規則でこれを定める。
③ 内閣総理大臣は、職員の能率の発揮及び増進について、調査研究を行い、その確保のため適切な方策を講じなければならない。
第七十二条 
削除

(能率増進計画)

第七十三条 
内閣総理大臣及び関係庁の長は、職員の勤務能率の発揮及び増進のために、次に掲げる事項について計画を樹立し、その実施に努めなければならない。
一 職員の保健に関する事項
二 職員のレクリエーションに関する事項
三 職員の安全保持に関する事項
四 職員の厚生に関する事項
② 前項の計画の樹立及び実施に関し、内閣総理大臣は、その総合的企画並びに関係各庁に対する調整及び監視を行う。

(能率の増進に関する要請)

第七十三条の二 
内閣総理大臣は、職員の能率の増進を図るため必要があると認めるときは、関係庁の長に対し、国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)又は国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)の執行に関し必要な要請をすることができる。

第六節 分限、懲戒及び保障[編集]

(分限、懲戒及び保障の根本基準)

第七十四条 
すべて職員の分限、懲戒及び保障については、公正でなければならない。
② 前項に規定する根本基準の実施につき必要な事項は、この法律に定めるものを除いては、人事院規則でこれを定める。

第一款 分限[編集]

第一目 降任、休職、免職等[編集]

(身分保障)

第七十五条 
職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。
② 職員は、人事院規則の定める事由に該当するときは、降給されるものとする。

(欠格による失職)

第七十六条 
職員が第三十八条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、人事院規則で定める場合を除くほか、当然失職する。

(離職)

第七十七条 
職員の離職に関する規定は、この法律及び人事院規則でこれを定める。

(本人の意に反する降任及び免職の場合)

第七十八条 
職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
一 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
三 その他その官職に必要な適格性を欠く場合
四 官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合

(幹部職員の降任に関する特例)

第七十八条の二 
任命権者は、幹部職員(幹部職のうち職制上の段階が最下位の段階のものを占める幹部職員を除く。以下この条において同じ。)について、次の各号に掲げる場合のいずれにも該当するときは、人事院規則の定めるところにより、当該幹部職員が前条各号に掲げる場合のいずれにも該当しない場合においても、その意に反して降任(直近下位の職制上の段階に属する幹部職への降任に限る。)を行うことができる。
一 当該幹部職員が、人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、他の官職(同じ職制上の段階に属する他の官職であつて、当該官職に対する任命権が当該幹部職員の任命権者に属するものをいう。第三号において「他の官職」という。)を占める他の幹部職員に比して勤務実績が劣つているものとして人事院規則で定める要件に該当する場合
二 当該幹部職員が現に任命されている官職に幹部職員となり得る他の特定の者を任命すると仮定した場合において、当該他の特定の者が、人事評価又は勤務の状況を示す事実その他の客観的な事実及び当該官職についての適性に照らして、当該幹部職員より優れた業績を挙げることが十分見込まれる場合として人事院規則で定める要件に該当する場合
三 当該幹部職員について、欠員を生じ、若しくは生ずると見込まれる他の官職についての適性が他の候補者と比較して十分でない場合として人事院規則で定める要件に該当すること若しくは他の官職の職務を行うと仮定した場合において当該幹部職員が当該他の官職に現に就いている他の職員より優れた業績を挙げることが十分見込まれる場合として人事院規則で定める要件に該当しないことにより、転任させるべき適当な官職がないと認められる場合又は幹部職員の任用を適切に行うため当該幹部職員を降任させる必要がある場合として人事院規則で定めるその他の場合

(本人の意に反する休職の場合)

第七十九条 
職員が、左の各号の一に該当する場合又は人事院規則で定めるその他の場合においては、その意に反して、これを休職することができる。
一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合
二 刑事事件に関し起訴された場合

(休職の効果)

第八十条 
前条第一号の規定による休職の期間は、人事院規則でこれを定める。休職期間中その事故の消滅したときは、休職は当然終了したものとし、すみやかに復職を命じなければならない。
② 前条第二号の規定による休職の期間は、その事件が裁判所に係属する間とする。
③ いかなる休職も、その事由が消滅したときは、当然に終了したものとみなされる。
④ 休職者は、職員としての身分を保有するが、職務に従事しない。休職者は、その休職の期間中、給与に関する法律で別段の定めをしない限り、何らの給与を受けてはならない。

(適用除外)

第八十一条 
次に掲げる職員の分限(定年に係るものを除く。次項において同じ。)については、第七十五条、第七十八条から前条まで及び第八十九条並びに行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定は、適用しない。
一 臨時的職員
二 条件付採用期間中の職員
② 前項各号に掲げる職員の分限については、人事院規則で必要な事項を定めることができる。

第二目 定年[編集]

第二款 懲戒[編集]

第三款 保障[編集]

第一目 勤務条件に関する行政措置の要求[編集]

第二目 職員の意に反する不利益な処分に関する審査[編集]

第三目 公務傷病に対する補償[編集]

第七節 服務[編集]

第八節 退職管理[編集]

第一款 離職後の就職に関する規制[編集]

第二款 再就職等監視委員会[編集]

第三款 雑則[編集]

第九節 退職年金制度[編集]

第十節 職員団体[編集]

第四章 罰則[編集]

附則[編集]

出典[編集]

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