七小町
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七小町
作者:船阪三枝
蒔かなくに、何を種とて浮草の、浪の畝々《うねうね》生ひ茂《しげ》るらん。草子洗ひも名にしおふ、その深草《ふかくさ》の少将が、百夜《ももよ》通ひも理《ことわり》や。日の本《もと》ならば照りもせめ、さりとては又《また》天《あめ》が下《した》とは。下《した》ゆく水の逢阪《あふさか》の、庵《いほり》へ心《こころ》関寺《せきでら》の、うちも卒都婆《そとば》も袖褄《そでつま》を、引く手数《あまた》の昔は小町《こまち》。今は恥し市原《いちはら》の。古跡《こせき》もきよき。清水《きよみづ》の、大悲《だいひ》の誓ひかがやきて。曇りなき、世に雲の上《うへ》在りし。昔にかはらねど、見し玉簾《たまだれ》の、内や床《ゆか》しき、内ぞ床しき。
- 底本: 今井通郎『生田山田両流 箏唄全解』中、武蔵野書院、1975年。
この作品は1899年3月4日以前に公表されたもので、作者の死亡から100年以上経過しているため全世界でパブリックドメインの状態にあります。