ザカリー・テイラーの大統領就任演説

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ザカリー・テイラーの大統領就任演説
作者:ザカリー・テイラー

以下は、1849年3月5日に、アメリカ合衆国大統領ザカリー・テイラーが行った演説である。

[編集] 演説

米国民によって法律に明示された最高位の職に選出された私は、憲法により規定された宣誓を為し、由緒ある慣例に従い、只今集っている諸君に述べるためにここに来た。

地球上の諸国民の間にあって高位を占める、この共和国の最高行政官となるよう私を召し出した我が国民によって示された信頼と尊敬は、最も深い感謝の念を私に抱かせてきた。だが、彼らの偏愛が与えたこの地位の受諾は、困難な職務を遂行するよう強いていると共に、最も重い責任を伴っているということを考えると、私が就くよう求められた地位は、最も傲慢な野望をも満足させるに充分ではあるが、同時に恐ろしい責任の数々に囲まれていることを感じるのである。しかし幸いなことに、新たな職務の遂行に当たり、私は有力な協力に事欠かないであろう。政府の立法・行政部門は、顕著な政治上の成功と熟練した経験との優れた実例の数々を見せている。そして、その才能、高潔さ、及び人格の高潔さが、信任の忠実かつ立派な遂行のための充分な保証を供給するであろう人々の行政府における私の支援が、私の努力となるであろう。そのような支援と、正しいことは何でもするという誠実な決意とをもって、私は懸命に、公平に、そして国家の最上の利益のため、与えられた種々の任務を遂行したい。

これらの職務の遂行に当たって私の指針となるのは憲法であり、本日私は憲法を「維持し、保護し、擁護する」[1]ことを誓うのである。この憲法の解釈については、司法当局によって確立された裁判所の判断と、憲法制定に大きく貢献した建国初期の大統領の時代における政府の先例とに倣う所存である。これらの傑出した愛国者の例に、とりわけ多くの意味で「祖国の父」であった彼の例に、私は常に敬意をもって従う所存である。

合衆国の海軍を統帥すること。上院の勧告と同意とによって条約を締結すること。大使その他の職員を任命すること。連邦の現況の情報を議会に提供し、必要と思われる措置を勧告すること。そして、法律が忠実に執行されるよう監視すること。これらは憲法によって大統領に委ねられた最も重要な権能である。これらを遂行するに当たり、私を規制する諸原則について手短に述べる必要があろう。

私は、政権獲得の暁には特定の党派または単なる地域的利益の支持のためでなく、国家全体の福祉のために献身するとの保証に基づいて、人民から選出された。私は、これまでに為してきた声明を本日改めて行うと共に、全力で政府の本来的清浄性を維持し、我が国の存在の強さを成す偉大なる共和主義を公共政策の基礎として採用するとの堅い決意を、ここに宣言する。

このところ戦地で多大な成果を収めている陸海軍に関しては、最高の効率性を保証するよう取り計らうべきであり、この目的の推進に際しては、議会の寛大さによって支えられている陸海軍の学校に対し、行政府は格別の配慮をすべきである。

米国の自由民として、我々は政治的自由の恩恵を拡げようとするあらゆる努力に共感せずにはいられない。だが同時に我々は、歴史の忠告によって、また我々自身の愛するワシントンの声によって、諸外国との同盟に巻き込まれるのを避けるよう警告されている。相反する政府間のあらゆる論争の際には、中立を堅持することこそが我々の義務であるばかりか、利益ですらある。一方、我が国の地理的位置、諸制度と人民との特質、文明の進取の気性、そして何よりも宗教的命令は、他のあらゆる列強との平和的かつ友好的な関係を培うよう我々に命じている。己の強さに自信を持ち、正当な権利を保護することを決意した政府が賢明な交渉によって解決できない、そんな国際問題が発生しないよう望まれる。そして、そして我が国のように、国民の道徳と理性に立脚し、彼らの愛国心に支えられている政府は、武力に訴える前にあらゆる名誉ある外交手段を尽くすことが極めて妥当である。対外関係の処理に当たっては、私はこれらの見解に従う所存である。何故ならば、国家の最高の利益と真の名誉とのためには、こうしたことが不可欠であると信ずるからである。

大統領に付与される任命権は、微妙かつ難儀な義務を課している。知らされ得る限りにおいて、私は誠実性、能力、及び忠誠をもって官職授与の不可欠な前提条件となすつもりである。そして、これらの資質のいずれか1つでも欠如すれば、それは罷免の充分な理由と見做されるのである。

農業商業、及び製造業の大きな利益に対する奨励と保護とを保障し、我が国の河川港湾を改修し、国債の速やかな償還の準備をし、政府のあらゆる官吏の側の厳しい責任と、あらゆる公的支出における最大限の緊縮とを強行するための必要かつ適切な憲法的措置を議会に勧告すること、これこそ私の取り組むべきことである。だが、国内政策におけるこれらその他の案件を規制するのは、憲法によってあらゆる立法権が与えられている議会自身の叡智の問題である。私は議会の見識ある愛国心に対し、相反する利害を調和させ、我々の希望と愛情との最高の対象たるべきこの連邦を永続させるような調停措置を採用することを確信し、期待している。真に国を愛する全ての者の心に沿った政策の推進を意図した如何なる行動に際しても、私は政府の各部署と熱心に連携する。

最後に、我が同胞たる市民諸君よ。私はプロヴィデンス神の美徳が我が国を繁栄の高みへと導き給うたことを祝福する。小さな始まりから今日我々が占めている高位へと我々を導き給うたのと同様の、保護的配慮が継続することを祈ろう。同時に我々自身も、継続に値する存在となるよう努めようでないか。議会の思慮と節度によって。避け難い見解の相違の故に幾度も生じてきた苦痛を緩和する巧みな試みによって。正当かつ自由な原則の公表と実行とによって。そして、我々自身の広大な共和国の領土以外の如何なる限界をも認めない、大いなる愛国心によって。

[編集] 訳註

  1. アメリカ合衆国憲法第2条第1節第8項は、大統領は就任に際して「私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行すると共に、合衆国憲法を維持し、保護し、擁護するよう全力を尽くすことを厳粛に誓う(または確約する) (I do solemnly swear (or affirm) that I will faithfully execute the Office of President of the United States, and will to the best of my Ability, preserve, protect and defend the Constitution of the United States)」と宣誓または確約せねばならないと規定している。


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