「論語 (Wikisource)/雍也第六」の版間の差分
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樊遲問<sup>フ</sup>{{レ}}知<sup>ヲ</sup> |
樊遲問<sup>フ</sup>{{レ}}知<sup>ヲ</sup>。子曰<sup>ク</sup>:「務<sup>メ</sup>{{二}}民之義<sup>ヲ</sup>{{一}}、敬<sup>シテ</sup>{{二}}鬼神<sup>ヲ</sup>{{一}}{{置き字|而}}遠<sup>ザク</sup>{{レ}}之<sup>ヲ</sup>、可<sup>シ</sup>{{レ}}謂<sup>フ</sup>{{レ}}知<sup>ト</sup>{{置き字|矣}}。」問<sup>フ</sup>{{レ}}仁<sup>ヲ</sup>。曰<sup>ク</sup>:「仁者<sup>ハ</sup>先<sup>ニシテ</sup>{{レ}}難<sup>キヲ</sup>{{置き字|而}}後<sup>ニス</sup>{{レ}}獲<sup>ルヲ</sup>、可<sup>シ</sup>{{レ}}謂<sup>フ</sup>{{レ}}仁<sup>ト</sup>{{置き字|矣}}。」 |
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: {{Ruby|樊遅|はんち}} 知を問ふ。子曰く:「民の義を務め、鬼神を敬して之を遠ざく、知と謂ふべし。」仁を問ふ。曰く:「仁者は難きを先にして{{Ruby|獲|う}}るを後にす、仁と謂ふべし。」 |
: {{Ruby|樊遅|はんち}} 知を問ふ。子曰く:「民の義を務め、鬼神を敬して之を遠ざく、知と謂ふべし。」仁を問ふ。曰く:「仁者は難きを先にして{{Ruby|獲|う}}るを後にす、仁と謂ふべし。」 |
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<div id="六之二一" style="background: #d9e3f1">'''六之二一'''</div> |
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子曰:「知者樂水、仁者樂山。知者動、仁者靜。知者樂、仁者壽。」 |
子曰<sup>ク</sup>:「知者<sup>ハ</sup>樂<sup>シミ</sup>{{レ}}水<sup>ヲ</sup>、仁者<sup>ハ</sup>樂<sup>シム</sup>{{レ}}山<sup>ヲ</sup>。知者<sup>ハ</sup>動<sup>キ</sup>、仁者<sup>ハ</sup>靜<sup>カナリ</sup>。知者<sup>ハ</sup>樂<sup>シミ</sup>、仁者<sup>ハ</sup>壽<sup>シ</sup>。」 |
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: 子曰く:「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。知者は動き、仁者は静かなり。知者は楽しみ、仁者は{{|寿|いのちなが}}し。」 |
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<div id="六之二二" style="background: #d9e3f1">'''六之二二'''</div> |
<div id="六之二二" style="background: #d9e3f1">'''六之二二'''</div> |
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子曰:「齊一變、至於魯;魯一變、至於道。」 |
子曰<sup>ク</sup>:「齊一變<sup>セバ</sup>、至<sup>ラン</sup>{{置き字|於}}魯<sup>ニ</sup>;魯一變<sup>セバ</sup>、至<sup>ラン</sup>{{置き字|於}}道<sup>ニ</sup>。」 |
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: 子曰く:「斉 一変せば、魯に至らん;魯 一変せば、道に至らん。」 |
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<div id="六之二三" style="background: #d9e3f1">'''六之二三'''</div> |
<div id="六之二三" style="background: #d9e3f1">'''六之二三'''</div> |
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子曰:「觚不觚 |
子曰<sup>ク</sup>:「觚不{{レ}}觚<sup>ナラ</sup>。觚<sup>ナラン</sup>哉!觚<sup>ナラン</sup>哉!」 |
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: 子曰く:「{{Ruby|觚|こ}} 觚ならず。觚ならんや!觚ならんや!」 |
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<div id="六之二四" style="background: #d9e3f1">'''六之二四'''</div> |
<div id="六之二四" style="background: #d9e3f1">'''六之二四'''</div> |
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宰我問曰:「仁者雖告之曰 |
宰我問<sup>ヒテ</sup>曰<sup>ク</sup>:「仁者<sup>ハ</sup>雖<sup>モ</sup>{{三}}告<sup>ゲテ</sup>{{レ}}之<sup>ニ</sup>曰<sup>フト</sup>{{二}}『井<sup>ニ</sup>有<sup>リト</sup>{{一}}{{レ}}仁{{置き字|焉}}』、其<sup>レ</sup>從<small>ハン</small>{{レ}}之<sup>ニ</sup>也?」子曰<sup>ク</sup>:「何爲<sup>レゾ</sup>其<sup>レ</sup>然<sup>ラン</sup>也?君子<sup>ハ</sup>可<sup>キモ</sup>{{レ}}逝<sup>カシム</sup>{{置き字|也}}、不<sup>ル</sup>{{レ}}可<sup>カラ</sup>{{レ}}陷<sup>ル</sup>也。可<sup>キモ</sup>{{レ}}欺<sup>ク</sup>{{置き字|也}}、不<sup>ル</sup>{{レ}}可<sup>カラ</sup>{{レ}}罔<sup>フ</sup>也。」 |
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: 宰我問ひて曰く:「仁者は之に告げて『井に仁有り』と曰ふと雖も、其れ之に従はんや?」子曰く:「{{Ruby|何為|なんす}}れぞ其れ然らんや?君子は逝かしむべきも、陥るべからざるなり。欺くべきも、{{Ruby|罔|し}}ふべからざるなり。」 |
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<div id="六之二五" style="background: #d9e3f1">'''六之二五'''</div> |
<div id="六之二五" style="background: #d9e3f1">'''六之二五'''</div> |
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子曰:「君子博學於文、約之以禮、亦可以弗畔矣夫!」 |
子曰<sup>ク</sup>:「君子博<sup>ク</sup>學<sup>ビ</sup>{{二}}{{置き字|於}}文<sup>ヲ</sup>{{一}}、約<sup>スルニ</sup>{{レ}}之<sup>ヲ</sup>以<sup>テセバ</sup>{{レ}}禮<sup>ヲ</sup>、亦<sup>タ</sup>可<sup>キ</sup>{{二}}以<sup>テ</sup>弗<sup>ル</sup>{{一}}{{レ}}畔<sup>カ</sup>矣夫!」 |
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: 子曰く:「君子 {{Ruby|博|ひろ}}く文を学び、之を約するに礼を以てせば、亦た以て{{Ruby|畔|そむ}}かざるべきか!」 |
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<div id="六之二六" style="background: #d9e3f1">'''六之二六'''</div> |
<div id="六之二六" style="background: #d9e3f1">'''六之二六'''</div> |
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子見南子 |
子見<sup>ル</sup>{{二}}南子<sup>ヲ</sup>{{一}}。子路不{{レ}}説<sup>バ</sup>。夫子矢<sup>ヒテ</sup>{{レ}}之<sup>ニ</sup>曰<sup>ク</sup>:「予<sup>ガ</sup>所<sup>ノ</sup>{{レ}}否<sup>キ</sup>者<sup>ハ</sup>、天厭<sup>タン</sup>{{レ}}之<sup>ヲ</sup>!天厭<sup>タン</sup>{{レ}}之<sup>ヲ</sup>!」 |
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: 子 南子を見る。子路 {{Ruby|説|よろこ}}ばず。夫子 之に{{Ruby|矢|ちか}}ひて曰く:「予が{{Ruby|否|すまじ}}き所の者は、天 之を{{Ruby|厭|た}}たん!天 之を厭たん!」 |
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<div id="六之二七" style="background: #d9e3f1">'''六之二七'''</div> |
<div id="六之二七" style="background: #d9e3f1">'''六之二七'''</div> |
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子曰:「中庸之爲德也、其至矣乎!民鮮久矣!」 |
子曰<sup>ク</sup>:「中庸之爲<sup>ル</sup>{{レ}}德也、其<sup>レ</sup>至<sup>レル</sup>矣乎!民鮮<sup>キコト</sup>久<sup>シ</sup>{{置き字|矣}}!」 |
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: 子曰く:「中庸の徳たるや、其れ至れるかな!民{{Ruby|鮮|すくな}}きこと久し!」 |
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<div id="六之二八" style="background: #d9e3f1">'''六之二八'''</div> |
<div id="六之二八" style="background: #d9e3f1">'''六之二八'''</div> |
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子貢曰:「如有博施於民、而能濟衆、何如?可謂仁乎?」子曰:「何事於仁 |
子貢曰<sup>ク</sup>:「如<sup>シ</sup>有{{下}}博<sup>ク</sup>施<sup>シテ</sup>{{二}}{{置き字|於}}民<small>ニ</small>{{一}}、{{置き字|而}}能<sup>ク</sup>濟<sup>ハバ</sup>{{レ}}衆<sup>ヲ</sup>、何如?可<sup>キ</sup>{{レ}}謂<sup>フ</sup>{{レ}}仁<sup>ト</sup>乎?」子曰<sup>ク</sup>:「何<sup>ゾ</sup>事<sup>トセン</sup>{{二}}{{置き字|於}}仁<sup>ヲ</sup>{{一}}?必<sup>ズ</sup>也聖乎!堯・舜<sup>モ</sup>其<sup>レ</sup>猶病<sup>メリ</sup>{{レ}}諸<sup>レヲ</sup>!夫<sup>レ</sup>仁者、己欲<sup>シテ</sup>{{レ}}立<sup>タント</sup>{{置き字|而}}立<sup>テ</sup>{{レ}}人<sup>ヲ</sup>、己欲<sup>シテ</sup>{{レ}}達<sup>セント</sup>{{置き字|而}}達<sup>ス</sup>{{レ}}人<sup>ヲ</sup>。能<sup>ク</sup>近<sup>ク</sup>取<sup>リテ</sup>譬<sup>フ</sup>、可<sup>キ</sup>{{レ}}謂<sup>フ</sup>{{二}}仁之方<sup>ト</sup>{{一}}也已。」 |
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: 子貢曰く:「{{Ruby|如|も}}し能く{{Ruby|博|ひろ}}く民に施して、能く衆を{{Ruby|済|すく}}はば、{{Ruby|何如|いかん}}?仁と謂ふべきか?」子曰く:「何ぞ仁を事とせん?必ずや聖か!尭・舜も其れ猶{{Ruby|諸|こ}}れを病めり!{{Ruby|夫|そ}}れ仁者は、己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す。能く近く取りて譬ふ、仁の方と謂ふべきのみ。」 |
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2015年7月29日 (水) 09:30時点における版
子曰ク:「雍也可シ㆑使㆓南面セシ㆒。」仲弓問フ㆓子桑伯子ヲ㆒。子曰ク:「可也。簡ナリ。」仲弓曰ク:「居テ㆑敬ニ而行ヒ㆑簡ヲ、以テ臨マバ㆓其ノ民ニ㆒、不㆓亦タ可ナラ㆒乎?居テ㆑簡ニ而行フ㆑簡ヲ、無カラン㆓乃チ大簡ナルコト㆒乎?」子曰ク:「雍之言然リ。」
- 子曰く:「雍や南面せしむべし。」仲弓 子桑伯子を問ふ。子曰く:「可なり。簡なり。」仲弓曰く:「敬に居て簡を行ひ、以て其の民に臨まば、亦た可ならずや?簡に居て簡を行ふ、乃ち大簡なること無からんや?」子曰く:「雍の言然り。」
哀公問フ:「弟子孰カ爲ス㆑好ムト㆑學ヲ?」孔子對ヘテ曰ク:「有リ㆓顏回ナル者㆒、好メリ㆑學ヲ;不㆑遷サ㆑怒リヲ、不㆑貳タビセ㆑過チヲ;不幸短命ニシテ死セリ矣。今也則チ亡シ。未ダル㆑聞カ㆓好ム㆑學ヲ者ヲ㆒也。」
- 哀公問ふ:「弟子
孰 か学を好むと為す?」孔子対へて曰く:「顔回なる者有り、学を好めり;怒りを遷さず、過ちを弐たびせず;不幸短命にして死せり。今や則ち亡し。未だ学を好む者を聞かざるなり。」
子華使ヒス㆓於齊ニ㆒、冉子爲ニ㆓其ノ母ノ㆒請フ㆑粟ヲ。子曰ク:「與ヘヨ㆓之ニ釜ヲ㆒。」請フ㆑益サンコトヲ。曰ク:「與ヘヨ㆓之ニ庾ヲ㆒。」冉子與フ㆓之ニ粟五秉ヲ㆒。子曰ク:「赤之適ク㆑齊ニ也、乘リ㆓肥馬ニ㆒、衣ル㆓輕裘ヲ㆒;吾聞ク㆑之ヲ也:君子ハ周ヒテ㆑急ヲ不㆑繼ガ㆑富メルニ。」原思爲リ㆓之ガ宰㆒、與フ㆓之ニ粟九百ヲ㆒。辭ス。子曰ク:「毋カレ!以テ與ヘン㆓爾ガ鄰里鄕黨ニ㆒乎!」
- 子華 斉に使ひす。
冉子 其の母の為に粟 を請ふ。子曰く:「之に釜を与へよ。」益 さんことを請ふ。曰く:「之に庾 を与へよ。」冉子 之に粟五秉を与ふ。子曰く:「赤の斉に適 くや、肥馬に乗り、軽裘 を衣 る。吾之を聞く:君子は急を周 ひて富めるに継がず。」原思 之が宰たり、之に粟九百を与ふ。辞す。子曰く:「毋かれ!以て爾が隣里郷党に与へんか!」
子謂ヒテ㆓仲弓ヲ㆒曰ク:「犂牛之子、騂クシテ且ツ角アラバ;雖モ㆑欲スト㆑勿カラント㆑用フルコト、山川其レ舍テンヤ㆑諸レヲ?」
- 子 仲弓を謂ひて曰く:「
犂牛 の子、騂 くして且つ角あらば;用ふること勿からんと欲すと雖も、山川其れ諸 れを舎 てんや?」
子曰ク:「回也、其ノ心三月不㆑違ハ㆑仁ニ。其ノ餘ハ則チ日月ニ至ル焉而已矣。」
- 子曰く:「回や、其の心三月仁に違はず。其の余は則ち日月に至るのみ。」
季康子問フ:「仲由ハ可キ㆑使ム㆑從ハ㆑政ニ也與?」子曰ク:「由也果ナリ、於イテ㆑從フニ㆑政ニ乎何カ有ラン!」曰ク:「賜也可キ㆑使ム㆑從ハ㆑政ニ也與?」曰ク:「賜也達ナリ、於イテ㆑從フニ㆑政ニ乎何カ有ラン!」曰ク:「求也可キ㆑使ム㆑從ハ㆑政ニ也與?」曰ク:「求也藝アリ、於イテ㆑從フニ㆑政ニ乎何カ有ラン!」
- 季康子問ふ:「仲由は政に従はしむべきか?」子曰く:「由や果なり、政に従ふに於いてか何か有らん!」曰く:「賜や政に従はしむべきか?」曰く:「賜や達なり、政に従ふに於いてか何か有らん!」曰く:「求や政に従はしむべきか?」子曰く:「求や芸あり、政に従ふに於いてか何か有らん!」
季氏使ム㆔閔子騫ヲシテ爲ラ㆓費ノ宰㆒。閔子騫曰ク:「善ク爲ニ㆑我ガ辭セヨ焉。如シ有ラバ㆓復タスル㆑我ヲ者㆒、則チ吾必ズ在ラン㆓汶ノ上ニ㆒矣。」
- 季氏
閔子騫 をして費の宰たらしむ。閔子騫曰く:「善く我が為に辞せよ。如 し我を復 たする者有らば、則ち吾は必ず汶 の上 に在らん。」
伯牛有リ㆑疾。子問ヒ㆑之ヲ、自リ㆑牖執ル㆓其ノ手ヲ㆒、曰ク:「亡ボセリ㆑之ヲ、命ナル矣夫!斯ノ人ニシテ也而有ルコト㆓斯ノ疾㆒也!斯ノ人ニシテ也而有ルコト㆓斯ノ疾㆒也!」
- 伯牛
疾 有り。子 之を問ひ、牖 より其の手を執り、曰く:「之を亡ぼせり、命なるかな!斯の人にして斯の疾有ること!斯の人にして斯の疾有ること!」
子曰ク:「賢ナル哉回也!一簞ノ食、一瓢ノ飮、在リ㆓陋巷ニ㆒。人ハ不㆑堪ヘ㆓其ノ憂ヒニ㆒、回也不㆑改メ㆓其ノ樂シミヲ㆒。賢ナル哉回也!」
- 子曰く:「賢なるかな回や!一箪の食、一瓢の飲、陋巷に在り。人は其のひに堪へず、回や其の楽しみを改めず。賢なるかな回や!」
冉求曰ク:「非ズ㆑不ル㆑説バ㆒子之道ヲ㆒、力不レバ㆑足ラ也。」子曰ク:「力不ル㆑足ラ者ハ、中道ニシテ而廢;今女ハ畫レリ。」
- 冉求曰く:「子の道を説ばざるには非ず。力足らざればなり。」子曰く:「力足らざる者は、中道にして廃す。今
女 は画 れり。」
子謂ヒテ㆓子夏ニ㆒曰ク:「女爲レ㆓君子ノ儒ト㆒、無カレ㆑爲ルコト㆓小人ノ儒ト㆒。」
- 子 子夏に謂ひて曰く:「
女 君子の儒と為れ、小人の儒と為ること無かれ。」
子游爲ル㆓武城ノ宰ト㆒。子曰:「女得タリ㆑人ヲ焉耳乎?」曰ク:「有リ㆓澹臺滅明ナル者㆒、行クニ不㆑由ラ㆑徑ニ;非ザレバ㆓公事ニ㆒、未ダル㆔嘗テ至ラ㆓於偃之室ニ㆒也。」
- 子游 武城の宰と為る。子曰く:「
女 人を得たりや?」曰く:「澹台滅明 なる者有り、行くに径に由らず;公事に非ざれば、未だ嘗 て偃 の室に至らざるなり。」
子曰ク:「孟之反不㆑伐ラ、奔リテ而殿タリ、將ニ㆑入ラント㆑門ニ、策チテ㆓其ノ馬ニ㆒、曰ク:『非ザル㆓敢ヘテ後レタルニ㆒也、馬不ル㆑進マ也。』」
- 子曰く:「孟之反
伐 らず、奔 りて殿たり、将に門に入らんとす、其の馬に策 ちて、曰く:『敢へて後れたるに非ざるなり、馬進まざるなり。』」
子曰ク:「不シテ㆑有ラ㆓祝鮀之佞㆒、而有ルハ㆓宋朝之美㆒、難イ乎免レンコト㆓於今之世ニ㆒矣。」
- 子曰く:「
祝鮀 の佞 有らずして、宋朝の美有るは、難いかな今の世に免れんこと。」
子曰ク:「誰カ能ク出ヅルニ不ラン㆑由ラ㆑戸ニ?何ゾ莫キ㆑由ルコト㆓斯ノ道ニ㆒也!」
- 子曰く:「誰か能く出づるに戸に由らざらん?何ぞ斯の道に由ること
莫 きや!」
子曰ク:「質勝テバ㆑文ニ則チ野、文勝テバ㆑質ニ則チ史。文質彬彬トシテ、然ル後ニ君子ナリ。」
- 子曰く:「質 文に勝てば則ち野、文 質に勝てば則ち史。文質
彬彬 として、然る後に君子なり。」
子曰ク:「人之生クル也直シ、罔クシテ㆑之ヲ生クルハ也幸ニシテ而免。」
- 子曰く:「人の生くるや直し。之を
罔 くして生くるは幸 ひにして免るるなり。」
子曰ク:「知ル㆑之ヲ者ハ不㆑如カ㆓好ム㆑之ヲ者ニ㆒、好ム㆑之ヲ者ハ不㆑如カ㆓樂シム㆑之ヲ者ニ㆒。」
- 子曰く:「之を知る者は之を好む者に如かず、之を好む者は之を楽しむ者に如かず。」
子曰ク:「中人以上ニハ、可キ㆓以テ語グ㆒㆑上ヲ也;中人以下ニハ、不ル㆑可カラ㆓以テ語㆒㆑上ヲ也。」
- 子曰く:「中人以上には、以て上を
語 ぐべきなり;中人以下には、以て上を語ぐべからざるなり。」
樊遲問フ㆑知ヲ。子曰ク:「務メ㆓民之義ヲ㆒、敬シテ㆓鬼神ヲ㆒而遠ザク㆑之ヲ、可シ㆑謂フ㆑知ト矣。」問フ㆑仁ヲ。曰ク:「仁者ハ先ニシテ㆑難キヲ而後ニス㆑獲ルヲ、可シ㆑謂フ㆑仁ト矣。」
樊遅 知を問ふ。子曰く:「民の義を務め、鬼神を敬して之を遠ざく、知と謂ふべし。」仁を問ふ。曰く:「仁者は難きを先にして獲 るを後にす、仁と謂ふべし。」
子曰ク:「知者ハ樂シミ㆑水ヲ、仁者ハ樂シム㆑山ヲ。知者ハ動キ、仁者ハ靜カナリ。知者ハ樂シミ、仁者ハ壽シ。」
- 子曰く:「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。知者は動き、仁者は静かなり。知者は楽しみ、仁者は{{|寿|いのちなが}}し。」
子曰ク:「齊一變セバ、至ラン於魯ニ;魯一變セバ、至ラン於道ニ。」
- 子曰く:「斉 一変せば、魯に至らん;魯 一変せば、道に至らん。」
子曰ク:「觚不㆑觚ナラ。觚ナラン哉!觚ナラン哉!」
- 子曰く:「
觚 觚ならず。觚ならんや!觚ならんや!」
宰我問ヒテ曰ク:「仁者ハ雖モ㆔告ゲテ㆑之ニ曰フト㆓『井ニ有リト㆒㆑仁焉』、其レ從ハン㆑之ニ也?」子曰ク:「何爲レゾ其レ然ラン也?君子ハ可キモ㆑逝カシム也、不ル㆑可カラ㆑陷ル也。可キモ㆑欺ク也、不ル㆑可カラ㆑罔フ也。」
- 宰我問ひて曰く:「仁者は之に告げて『井に仁有り』と曰ふと雖も、其れ之に従はんや?」子曰く:「
何為 れぞ其れ然らんや?君子は逝かしむべきも、陥るべからざるなり。欺くべきも、罔 ふべからざるなり。」
子曰ク:「君子博ク學ビ㆓於文ヲ㆒、約スルニ㆑之ヲ以テセバ㆑禮ヲ、亦タ可キ㆓以テ弗ル㆒㆑畔カ矣夫!」
- 子曰く:「君子
博 く文を学び、之を約するに礼を以てせば、亦た以て畔 かざるべきか!」
子見ル㆓南子ヲ㆒。子路不㆑説バ。夫子矢ヒテ㆑之ニ曰ク:「予ガ所ノ㆑否キ者ハ、天厭タン㆑之ヲ!天厭タン㆑之ヲ!」
- 子 南子を見る。子路
説 ばず。夫子 之に矢 ひて曰く:「予が否 き所の者は、天 之を厭 たん!天 之を厭たん!」
子曰ク:「中庸之爲ル㆑德也、其レ至レル矣乎!民鮮キコト久シ矣!」
- 子曰く:「中庸の徳たるや、其れ至れるかな!民
鮮 きこと久し!」
子貢曰ク:「如シ有㆘博ク施シテ㆓於民ニ㆒、而能ク濟ハバ㆑衆ヲ、何如?可キ㆑謂フ㆑仁ト乎?」子曰ク:「何ゾ事トセン㆓於仁ヲ㆒?必ズ也聖乎!堯・舜モ其レ猶病メリ㆑諸レヲ!夫レ仁者、己欲シテ㆑立タント而立テ㆑人ヲ、己欲シテ㆑達セント而達ス㆑人ヲ。能ク近ク取リテ譬フ、可キ㆑謂フ㆓仁之方ト㆒也已。」
- 子貢曰く:「
如 し能く博 く民に施して、能く衆を済 はば、何如 ?仁と謂ふべきか?」子曰く:「何ぞ仁を事とせん?必ずや聖か!尭・舜も其れ猶諸 れを病めり!夫 れ仁者は、己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す。能く近く取りて譬ふ、仁の方と謂ふべきのみ。」