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尾を振りみだして<span lang="ko" xml:lang="ko">又</span>駆ける
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あの栗毛の三才だらう。
あの栗毛の三才だらう。
のびやかな素直な初々しい、
のびやかな素直な{{Ruby|初々|ういうい}}しい、
高らかにも荒っぽい
高らかにも荒っぽい
三里塚の春は大きいよ。
三里塚の春は大きいよ。

2021年10月24日 (日) 06:32時点における版


詩集『をぢさんの詩』より(17行)

三里塚の春は大きいよ。
見果てのつかない御料牧場はうつすり
もうあさ緑の絨毯を敷きつめてしまひ、
雨ならけむるし露ならひかるし、
明方かけて一面に立てこもる杉の匂に、
しつとり掃除の出來た天地てんちふたつの風景の中へ
春が置くのは生きてゐる本物ほんもの春駒はるこまだ。
すつかり裸の野のけものの清浄さは、野生さは
 愛くるしさは、
ああ、たてがみに毛臭けくさい生き物のを靡かせて、
ただ一心に草を食ふ。
かすむ地にきらきらするのは
尾を振りみだして駆ける
あの栗毛の三才だらう。
のびやかな素直な初々ういういしい、
高らかにも荒っぽい
三里塚の春は大きいよ。

底本

  • 詩集『をぢさんの詩』
高村光太郎、「春駒」 『をぢさんの詩』 武蔵書房、1933年、122-124頁。doi:10.11501/1129196国立国会図書館デジタルコレクション:info:ndljp/pid/1129196/1/70 

この著作物は、1956年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の発効日(2018年12月30日)の時点で著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以上経過しています。従って、日本においてパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、1929年1月1日より前に発行された(もしくはアメリカ合衆国著作権局に登録された)ため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。