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くらし。{{r|後生|ごしやう}}には{{r|極楽|ごくらく}}へ参らんと思い。ずいぶん{{r|念仏|ねんぶつ}}
くらし。{{r|後生|ごしやう}}には{{r|極楽|ごくらく}}へ参らんと思い。ずいぶん{{r|念仏|ねんぶつ}}
をわするなと。いとねんごろにしめしたまへば。其時に
をわするなと。いとねんごろにしめしたまへば。其時に
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仕。{{r|少庵|せうあん}}をもむすびあたへ{{r|村中|むらぢう}}の{{r|斎坊主|ときぼうず}}と{{r|定|さだ}}め
仕。{{r|少庵|せうあん}}をもむすびあたへ{{r|村中|むらぢう}}の{{r|斎坊主|ときぼうず}}と{{r|定|さだ}}め
申度候。其故は羽生村の者ども。年來{{r|因果|ゐんぐわ}}の
申度候。其故は羽生村の者ども。年來{{r|因果|ゐんぐわ}}の
{{r|道理|たうり}}をもわきまへず。{{r|邪見放逸|じやけんはういつ}}にくらし候所に。此度
{{r|道理|たうり}}をもわきまへず。{{r|邪見放逸|じやけんはういつ}}にくらし候所に。此度
{{r|菊|きく}}が{{r|徳|とく}}により。みな{{く}}{{r|善心|ぜんしん}}を{{r|起|おこ}}し{{r|昼夜|ちうや}}{{r|後世|ごせ}}のいとなみ
{{r|菊|きく}}が{{r|徳|とく}}により。みな{{く}}{{r|善心|ぜんしん}}を{{r|起|おこ}}し{{r|昼夜|ちうや}}{{r|後世|ごせ}}のいとなみ
を仕る事。これはひとへに此{{r|娘|むすめ}}の大{{r|恩|おん}}にて候へば。いかにも
を仕る事。これはひとへに此{{r|娘|むすめ}}の大{{r|恩|おん}}にて候へば。いかにも
かれが{{r|願|ねが}}ひのまゝに。{{r|剃髪|ていつ}}なされ候はゝ。我々の{{r|報恩|ほうおん}}と
かれが{{r|願|ねが}}ひのまゝに。{{r|剃髪|ていつ}}なされ候はゝ。我々の{{r|報恩|ほうおん}}と
{{r|存|ぞん}}じ奉らんなどゝ。{{r|詞|ことば}}をつくして申ける時和尚のたま
{{r|存|ぞん}}じ奉らんなどゝ。{{r|詞|ことば}}をつくして申ける時和尚のたま
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わく。あら事くどし何といふ共。我は{{r|剃髪|ていはつ}}せざるに
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せりたて給へば。人〻{{r|是非|ぜひ}}なく{{r|畏|かしこまつ}}て候とて。すなはち方
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丈に罷出。{{r|兩役者|りやうやくしや}}を以て申上れば。みな{{く}}召出さ
丈に罷出。{{r|兩役者|りやうやくしや}}を以て申上れば。みな{{く}}召出さ

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にもかうをつくし。おつとにもよくしたがひ。現世げんぜ安穏あんおんに くらし。後生ごしやうには極楽ごくらくへ参らんと思い。ずいぶん念仏ねんぶつ をわするなと。いとねんごろにしめしたまへば。其時に きく名主なぬし年寄としよりむかいて申やう。たゞ何とぞ御訴訟そしやうなさ れわらわを出家しゆつけさせてたべとぞねがひける。時に兩人りやうにん ことはをそろへ。和尚に向て又申やう。只今の仰せ御もつとも に候。さりながらおやおつとと二人の事は。我〻何とぞ 才覚さいかく仕りいか様成よめをもむかへ。金五郎にあわせ候 ひて。与右衛門をば介抱かいほうさせ候はん。さてきくをば比丘尼びくにに 仕。少庵せうあんをもむすびあたへ村中むらぢう斎坊主ときぼうずさだめ 申度候。其故は羽生村の者ども。年來因果ゐんぐわ道理たうりをも。わきまへず。邪見放逸じやけんはういつにくらし候所に。此度 きくとくにより。みな善心ぜんしんおこ昼夜ちうや後世ごせのいとなみ を仕る事。これはひとへに此むすめの大おんにて候へば。いかにも かれがねがひのまゝに。剃髪ていばつなされ候はゝ。我々の報恩ほうおんぞんじ奉らんなどゝ。ことばをつくして申ける時和尚のたま わく。あら事くどし何といふ共。我は剃髪ていはつせざるに 先〻まづ方丈はうじやうへも礼にあがり。十ねんもうけ候へとりやうを せりたて給へば。人〻是非ぜひなくかしこまつて候とて。すなはち方 丈に罷出。兩役者りやうやくしやを以て申上れば。みな召出さ れ。十念さづけたまひて。さて方丈の仰せには。きく よかまへて地獄極楽をわすれず。よく念佛して