「Page:死霊解脱物語聞書.pdf/9」の版間の差分

提供:Wikisource
編集の要約なし
ページ本文(参照読み込みされます):ページ本文(参照読み込みされます):
8行目: 8行目:
{{r|怨灵|おんれう}}{{r|答|こたへ}}ていわく。{{r|能|よく}}こそ{{r|問|とは}}れたれ此事を。それ
{{r|怨灵|おんれう}}{{r|答|こたへ}}ていわく。{{r|能|よく}}こそ{{r|問|とは}}れたれ此事を。それ
善人悪人{{r|怨讐|おんじう}}{{r|執對|しつたい}}有て。死する者多しといへ共。
善人悪人{{r|怨讐|おんじう}}{{r|執對|しつたい}}有て。死する者多しといへ共。
來て{{r|告|つぐ}}る人{{r|少|すくな}}き事は。是皆{{r|過去|くわこ}}善悪の{{r|業|ごふ}}{{r||けつ}}
來て{{r|告|つぐ}}る人{{r|少|すくな}}き事は。是皆{{r|過去|くわこ}}善悪の{{r|業|ごふ}}{{r||けつ}}
{{r|定|でう}}して。{{r|任運|にんうん}}に{{r|未來|みらい}}{{r|報應|ほうおう}}の{{r|果|くわ}}を{{r|感|かん}}じ{{r|極|きわ}}むる故
{{r|定|でう}}して。{{r|任運|にんうん}}に{{r|未來|みらい}}{{r|報應|ほうおう}}の{{r|果|くわ}}を{{r|感|かん}}じ{{r|極|きわ}}むる故
爰に{{r|來|く}}る事能わざる{{r|歟|か}}。あるひは{{r|宿世|しゆくせ}}におゐて
爰に{{r|來|く}}る事能わざる{{r|歟|か}}。あるひは{{r|宿世|しゆくせ}}におゐて

2021年5月27日 (木) 11:39時点における版

このページは校正済みです

別なる子細しさいあり。をの了簡りやうけんにあたはじといふ時。年寄 庄右衛門問ていわく。さては汝に尋ぬる事有り。惣じて一切 善悪ぜんあく衆生しゆじやうみな爾者しからはぜん人はきたつて。善所ぜんしよかたり。六しん朋友ほういう勧誡くわんかいし。あく人は來て。悪所あくしよ を知らせて其身の苦患くげんのがれん事をねがふべし 何故ぞ死者しするものもつともおほきに。來る人はなはだまれなるや。又 いかなれば汝一人爰に來て。今のことはりをのぶるぞや 怨灵おんれうこたへていわく。よくこそとはれたれ此事を。それ 善人悪人怨讐おんじう執對しつたい有て。死する者多しといへ共。 來てつぐる人すくなき事は。是皆過去くわこ善悪のごふけつ でうして。任運にんうん未來みらい報應ほうおうくわかんきわむる故 爰にる事能わざる。あるひは宿世しゆくせにおゐて こゝに帰りげんと思ふ。ふかねがひのなきゆへか。又は 㝡後さいごの一ねんに。つよく執心しうしんをとめざるにもやあらん 人の事はしばらくおく。我は㝡後の怨念おんねんよつ て來りたりといへば。名主年よりをはじめ。村人何も 尤とかんじ。さては怨灵おんれう退散たいさん祈祷きたうを頼んとて。 當村の祈念者きねんしやよびよせ。仁王法花心經にんわうほつけしんぎやうなんど 讀誦どくじゆする時。怨灵がいわくやみなんよむべからず たと幾反功いくへんこうつむ共。我にゑんなしうかぶべからず。只 念佛ねんふつをとなへて。あたへたまへとあれば。其時名主 問ていわく。誦經じゆきやうと念佛と。何のかわり有てかくは