「故議員小野義夫君、重成格君に対する追悼の辞」の版間の差分

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* 1956年(昭和31年)11月16日、参議院第25回国会本会議において行われた、重成格議員(元鹿児島県知事)に対する高野一夫議員の追悼演説。
* 1956年(昭和31年)11月16日、参議院第25回国会本会議において行われた、重成格議員(元鹿児島県知事)に対する高野一夫議員の追悼演説。
* 典拠:[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/025/0512/02511160512004a.html 参議院会議録情報第25回国会]
* 典拠:[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/025/0512/02511160512004a.html 参議院会議録情報第25回国会]
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2021年1月27日 (水) 01:41時点における版

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○議長(松野鶴平君) 高野一夫君。

  〔高野一夫君登壇、拍手〕

○高野一夫君 今国会の劈頭におきまして、ただいま阿具根議員から小野義夫君に対する追悼の辞がございましたが、さらに引き続いて重成格君の御逝去につきまして追悼の辞を申し上げなければならないことを、まことに痛恨しごくに存じます。私は重成君とは学友でありました関係をもちまして、ここに皆様の御了解を得まして、同君生前の業績をたたえ、各位とともにその風貌をしのびたいと思います。

 同君は、先の通常選挙において初めて当選せられましたので、御面識のない方が多いかと存じまするが、同君は、明治三十四年岡山市に生まれ、東京帝国大学法律学科を卒業とともに内務省に入り、各県の事務官を歴任し、内務兼外務事務官として欧米諸国を視察し、またロンドンにおける世界厚生会議へ日本代表として出席し、さらに内務書記官として南方諸島へ出張せられましたが、その後、大阪府、兵庫県の部長を経て、終戦直後、鹿児島県知事に任ぜられたのであります。昭和二十二年初めての知事選挙に鹿児島県知事に立候補して、めでたく当選し、初代民選知事となられたのでありますが、二十六年再選されましたので、その任期満了まで実に前後十年間にわたり、県議会におきましては、各会派一致しての支持を受け、県庁内では吏員全体の協力がありまして、地方行政のために尽瘁し、ことに台風常襲地帯でありまするところの鹿児島県の災害対策、あるいは奄美大島の復帰等、さらに一般地方財政の赤字対策については、全国知事会議の有力代表として、大いに活躍せられたことを初め、特殊土壌対策に関する法律の制定に当っては、審議会会長となり、また南九州総合開発審議会の発足するや、同会長として国土総合開発に尽され、経済五カ年計画を立てて、電源開発や農業県としての育成に当る等、数えきたれば、同君が残されたる功績は、実に顕著なるものかあったのであります。しかも同君は、その多年の経験をもととして、みずからの抱負経綸を実現せしめるため、中央政界への進出を決意し、先の通常選挙に立候補して、衆望の帰するところ、めでたく当選の栄冠をかち得られたのであります。

 今日我が国の国内政局並びに国際政情のますます多事多端、特に議会の円滑なる運営による民主政治の待望せられておりまするときに、同君のごとき多年の経験による識見と、すぐれたる性格の持主であったところの人物が、その器材を国政に反映せしめ得ずして急逝せられましたことは、邦家のためまことに遺憾にたえません。ことに当選後の初の国会でありまするところのこの臨時国会の召集を待たずして、希望の常任委員会にも出席する機会もなく、一回も議席に着かずして急逝せられました同君の不運と不幸に深く思いをはせますれば、万斛の涙なきを得ない次第であります。

 ここに各位を代表いたしまして、つつしんで同君の御逝去に対し追悼の辞を申し述べた次第でございます。(拍手)

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この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。