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事時不藥   (事なき時は薬を服すべからず)

藥物は効力ある物ゆゑ、法にたがふ時は却て害あるものなり。されば古には毒ともいへり。然るに今時の人是を知らず、藥だに服すれば能き事とこゝろえ、させることなきに?に藥を服するは甚しき誤なり。?せざれば中?を得と云ふこともあり。大底の病は藥を服さずとも自然の力によって病は平个するものなり。??の人は大方の病には薬を服さずして快復するもの多し。?ば飲酒度に過たる人は登調頭痛し、心中も??す。故に自ら吐せんことを欲す。終に自ら吐?し、其飲たるものを吐畫す。??なれば?快復す。是其自然のちからを以て治るの證なり。然に其人力足らず、吐むと欲して自ら吐事を得ず。如許時は吐藥を與へて是を吐しむ。これにより吐ときは其治すること自然の吐瀉と同じ。是藥の効にして藥を服するの法なり。總て病の治するは自然にして藥は其力の足らざる所を助るものなり。西洋の人は自然は體中の一大良藥にして薬は其補佐なりとも説り。かくあることを?へす、少の事にも藥を服するは其益少くして其害多し。殊に薬は意のるべきことなり。物にも腹中に入たる物は再び取去りがたきは勿論なり。些細の物にても知べし。鼠蝮蛇の類ひ人を損傷すといふは微細なる歯を以て人の肉を咬み気なり。しかある時は其毒氣血に従ひて流