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例言

一、思想は身體の健否と關係し、身體の健否は日々の生活に支配される。

一、人の疾病を治し、國民保健の指導を任とする者は、己れ先づ適正なる生活を生活して健全なる身心の持主とならなくてはならぬ。本書は此目的に向つて貢獻する所あるであらう。

一、本書は著者自らの體驗を經とし、東西の學說を緯として作り成しゝものであるとは、著者の巻末に記す所である。近世科學の子たる讀者は宜しく之を學的光明の下に繕いて、古き表現の裏にひそむ永遠的なるものを發見すべきである。

一、博士小酒井不木氏は本書について「養生訓として古來廣く世人に膾炙し、且つ現代人が科學萬能の聲に眩惑されて忘却してゐた療病の上に幾多の眞理を藏するもの。」と曰つた。古來數多き類書中、本書は最もすぐれたるものゝ一たることを疑はない。

一、巻末に補註せるは讀者をしてなるべく字句の解釋に勞することなからしめんことゝ、多少でも興味多からしめんとの老婆心からであるが、蛇足却つて累を著者に及ぼすことなきやを恐るゝものである。