て曰へり、夫子、夫子、我等亡ぶ。彼起きて、風と水の浪とを禁めたれば、則止みて、穏になれり。
二五彼等に謂へり、爾等の信は安に在るか。彼等懼れ驚きて、互に言へり、是れ何人ぞ、風にも水にも命じて、亦彼に順ふ。
二六ガリレヤに對へるガダラの地に着きて、
二七彼が岸に登りし時、邑の一人の者彼を迎へたり、乃久しく魔鬼に憑られ、衣を衣ず、家に住まずして、墓に住める者なり。
二八此の人イイススを見て號び、彼の前に俯伏し、大なる聲を以て曰へり、至上なる神の子イイススよ、我と爾と何ぞ與らん、爾に求む、我を苦しむる勿れ。
二九蓋イイススは汚鬼に此の人より出づるを命じたり、其彼を拘へしこと久しければなり。彼を守りて、鐡索と桎梏とに繫ぎたれども、彼繫を斷ちて、魔鬼の爲に野に逐はれたり。
三〇イイスス彼に問ひて曰へり、爾の名は何ぞ、彼曰へり、大隊、多くの魔鬼彼に入りたればなり。
三一魔鬼はイイススに、彼等に淵に往くを命ぜざらんことを求めたり。
三二彼處に豕の大群の山に牧はれたるあり、魔鬼は彼に、其中に入るを許さんことを求めたれば彼之を許せり。
三三魔鬼人より出でゝ、豕に入りしに、群は山坡より湖に逸けて溺れたり。
三四牧ふ
者有りし
事を
觀て、
奔り
往きて、
邑及び
諸村に
告