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ら(記録第一冊一三丁以下参照)原判決が所論の白シヤツの存在を証拠として引用したことに何等の違法もない。論旨第二点の所論も亦単なる訴法違反の主張としても理由なきものである。
 弁護人三上直吉の上告趣意について。
 憲法三七条一項にいわゆる公平な裁判所の裁判とは、その組織構成において偏頗の虞れのない裁判所による裁判の意と解すべきことは当裁判所大法廷の判例とするところである。されば論旨第一点の所論は、右と異なる見地に立つて憲法三七条一項の違反を主張する部分は明らかにその理由なく、結局その実質は単なる訴訟法違反の主張に帰着し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。のみならず、所論起訴状の記載については、原審で控訴趣旨として主張されなかつたところであり、従つて原審も何等の判断もしていない事項であるから、これを上告理由として新たに主張することは許されないところである。その他論旨第二点及び第四点の所論は事実誤認の主張であり、論旨第三点及び第五点の所論は単なる訴訟法違反の主張であり、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 なお記録を精査しても、本件では刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

 よつて刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎

弁護人竹田藤吉の上告趣意

第一点 原判決はその証拠説明の⑻において、
原審鑑定人古畑種基作成の鑑定書中の記載、特に「海軍用開襟シヤツ(証第二号とあるのは証第三号の誤と認める)附着の人血痕はBMQE型であり、畳表(証第二十一号、被害者〔甲〕の血液の附着しているもの)附着の人血もBMQE型であつて、その血液型は完全に一致し、同一人のものと推定される」(中略)「右両者の