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どりの城をめぐつて、城下町が發達しました。幕府の奬勵と大名の努力とによつて、學問や產業が目だつて盛んになり、また交通機關も整つて來ました。毛槍のさばきおもしろく「下に下に」の聲ものどかな大名行列は、まさに太平の世のしるしでありました。

〈第百十二代〉靈元天皇の御代に、綱吉が將軍に任じられ、やがて〈第百十三代〉東山天皇の元祿年間になると、長い間の太平で、國民の生活は、いつぱんにはなやかになりました。武士でさへ、この風に染まつて、尙武の氣風を失ひ、幕府の政治もゆるんで來ました。かうした時に、赤穗義士の仇討ちがあつて、人々の心をひきしめたのでした。播磨赤穗の城主淺野長矩の家老であつた大石良雄を始め、四十七人の浪士が、力を合はせ心をくだいて、つひに主の仇吉良義央を討ち取り、幕府のさばきに從つて、いさぎよく切腹したのです。良雄の子良