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しづめ、その功によつて重く用ひられた話は、いちばん有名です。

明かるい海、靑々とした木々を背景にして、白壁づくりの軒を連ねた日本町の生活は、繪のやうに美しく、夢のやうにおだやかでした。しかし南洋には、すでにヨーロッパ人の勢力がくひ入つてゐます。日本町の人々も、朱印船の商人も、ともどもに力を合はせて、これと競爭しなければなりませんでした。その場合、土地の人々は、つねにまじめで勇敢な日本人の奮鬪を、心からたのもしく思ひました。濱田彌兵衞が臺灣で、オランダの長官をこらしめた話などからも、これがうかがはれます。臺灣は、わが國と南洋との中間に位し、朱印船の南方進出の上に、たいそう重要な地點でした。ところがオランダ人は、寬永元年に、臺南附近を占領して、臺灣の富を獨占しようとしたばかりか、わが朱印船の南方進出をさへ、さまたげ