大神は、天皇陛下の御先祖に當らせられる、かぎりもなく尊い神であらせられます。御德きはめて高く、日神とも申しあげるやうに、御惠みは大八洲にあふれ、海原を越えて、遠く世界のはてまで滿ちわたるのであります。
大神は、高天原にいらつしやいました。稻・麥等五穀を植ゑ、蠶を飼ひ、糸をつむぎ、布を織ることなどをお教へになりました。春は機を織るをさの音ものどかに、秋は瑞穗の波が黃金のやうにゆらいで、樂しいおだやかな日が續きました。私たちは「天の岩屋」や「八岐のをろち」のお話にも、大神の尊い御德と深い御惠みを仰ぐことができます。御弟素戔鳴尊を始めたてまつり、多くの神々が、どんなに深く大神をおしたひ申しあげてゐられたかを知ることができます。
大神は、大八洲を安らかな國になさらうとして、御子孫をこの國土にお降しになることを、お考へになつてゐました。當時大八洲には、多くの神々があり、中でも、素戔鳴尊の御子、大國主神は、勇氣もあり、なさけも深く、出雲地方をなつけて、勢が最も盛んでありました。そこで大神は、御使ひをおつかはしになつて、君臣の分をお示しになり、國土の奉還をおさとしになりました。大國主神は、つつしんでその仰せに從はれました。大神は、その眞心をおほめにな