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をつくし、大君のために、朝敵をほろぼしたてまつれ。もう十一にもなつたそなたを河内にかへすのは、そのためである。」
櫻井のわかれ
と心をこめてさとしました。さうして、天皇からたまはつた菊水の短刀を、かたみとして、正行に與へました。
兵庫へ着いた正成は
「最期にのぞんで、のこす願ひは。」
「
正季は、かう答へて、兄の顏をみつめました。正成は、さもうれしさうにいひました。
「自分の願ひも、その通りである。」
兄弟は、につこり笑つて、
義貞が形勢を見て京都に
をつくし、大君のために、朝敵をほろぼしたてまつれ。もう十一にもなつたそなたを河内にかへすのは、そのためである。」
と心をこめてさとしました。さうして、天皇からたまはつた菊水の短刀を、かたみとして、正行に與へました。
兵庫へ着いた正成は
「最期にのぞんで、のこす願ひは。」
「
正季は、かう答へて、兄の顏をみつめました。正成は、さもうれしさうにいひました。
「自分の願ひも、その通りである。」
兄弟は、につこり笑つて、
義貞が形勢を見て京都に