すく、のびゆく日本の都として、まことにふさはしいところでした。都の構へは、平城京よりさらに大きく、山川の眺めもまた、奈良にまさるものがありました。四方から集つて來た人々は、すがすがしい新都を祝つて、平安京とほめたたへました。思へば、桓武天皇から〈第百二十一代〉孝明天皇まで、およそ一千年の間、御代御代の天皇は、ここにましまして、國をお納めになつたのであります。この間、世の中がどんなに變つても、京都は日本の中心であり、京といへば京都をさす習はしも、この間にできました。今、東山のふもとの近く、青瓦の屋根、朱ぬりの柱も美しい、大極殿にかたどつた平安神宮には、桓武天皇と孝明天皇の御二方がおまつりしてあります。
桓武天皇は、平安京におうつりになると、かねてのお考へどほり、