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Page:Taketori Monogatari Nihonjidobunko.pdf/11

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べつによい器量きりようでもありませぬから、お使つかひにふことは御免ごめんかうむります」
 とねて、どうすかしても、しかつてもはうとしませんので、女官じよかん面目めんぼくなさそうに宮中きゆうちゆうかへつてそのことをまをげました。みかどさらおきな御命令ごめいれいくだして、もしひめ宮仕みやづかへにさしすならば、おきなくらいをやらう。どうにかしてひめいて納得なつとくさせてくれ。おやで、そのくらゐのことの出來できぬはずはなからうとおほせられました。おきなはそのとほりをひめつたへて、ぜひともみかどのお言葉ことばしたがひ、自分じぶんたのみをかなへさせてくれといひますと、
「むりに宮仕みやづかへをしろとおほせられるならば、わたしえてしまひませう。あなたのおくらゐをおもらひになるのをて、わたしぬだけでございます」
 とひめこたへましたので、おきなはびっくりして、
くらゐいたゞいても、そなたになれてなんとしよう。しかし、宮仕みやづかへをしてもなねばならぬ道理どうりはあるまい」
 といつてなげきましたが、ひめはいよしぶるばかりで、すこしもきいれる樣子ようすがありませ