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Page:Shisekisyūran17.pdf/756

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楓松竹留秋見 聆(於ィ)雨芭蕉入夜鳴 尾上峰宇廊下海 登臨終日隔人情

池のほとりに一木の楓手ありいにしへ爲相卿

いかにして此一もとにィ時雨らん山にさきたつ庭の紅葉ば

とよみ給ひしより此木時雨にも染ぬとて「靑葉の紅葉と習はすよし語りナシィ」むかしのぬしに手向とて、

世々にふるその言のはのしくれより染ぬそ色ハふかきもみちばィ无

二日にィも爰をさりかたくて、かなたこなた見めくりて、迫門の明神へ詣けるに、千歲の古木雲をしのき、回岩(四岸ィ)宮をつゝみ「て、たかたるィ」山のいきほひ、實に巨靈神の手を延て、いつくよりか此山をうつしけんと、あやしき計なり、いかなる御神そと尋ねけれハ、是ハ三島の大明神、本地ハ大通智勝佛、伊豆と御一体なりと、神職の答られける、

まふてつる昔を今に思ひ伊豆の三島も同し神垣の內

法身妙應本無方 三島不阻一封疆 山色涵波顯埀跡 朝陽出海是和光

社のまへハ、島をつき出して辨才天を勸請し、島へハ第一第二の橋あり、島のめくり、古木浦風になひき、よる波木末をあらふ、一根淸淨なる時、六根ともに淸し、我人のかうへに神やとらさらめや、賴もしうそ覺る、

波風も心もなきぬ大海をさなから神の廣前に見て

宿のあるし舟もよひして、自艫をゝして汀を出るに、秋も過行、野島こゝなれは、