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緖言

少く普通に知られたる所に最多くの力を致さんとする趣旨に出で,又一は數を觀察するに當り,其大小に關せる側面に偏して,數の個性(アリスメチカル,キヤラクター)を藐視すること,決して數の知識を精確ならしむる所以にあらざるを信ぜるに由れり.

第八章以下は袖象的の量として數を論ず.其目的,數とは何ぞ,量を計るとは何の謂ぞ,との卑近なる問題を解釋するにあり.數の觀念を闡明して,數學に牢然動すべからざる基礎を與へたること,實に十九世紀に於ける數學進步の異彩にして又其根源なり.斯の如き高等數學の進步は決して初等數學に影響する所なくして已むべからず.高