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附錄

以外の素數は盡く 又は の形をなせり, は前者に屬し, は後者に屬せり. の形の數の素數因子の中には同じ形の者少くとも一個存在せざるべからざるに着眼し

なる數につきてユークリツドの證明を適用し の形の素數無限に存在するを證明すべし. の形の素數の限りなく存在すべきを證せんと欲せば先づ に於て の倍數となすとき,此數の素數因子盡く の形をなせるを認むべし. を用ゐて前の證明を模倣すべし.

一般に が相素なるときは の形の形の素數無限に存在す.卽初項と公差とに公約數なき算術級數の諸項中には限りなく多くの素數あり.此定理は整數論に於て頗る有名にして,ヂリクレーの始めて證明せる所なり, の場合の外,此定理の證明は甚困難なり.

 分數の普通の定義はよく知らるゝ事にて又後章に於ても說かるべきにより,此處には故らに新奇の立脚點をとれり.

「分數班」の語は便利の爲め假に用ゐたるに過ぎず,一般に通用すべからず.

五(五) 乘法の定義を次の如く言ひ表すは不正確なり. を乘ずるは より に達すべき手續きを に施こすなり.例へば ,又 上述の定義を完全ならしめんと欲せば次の如く之を修正すべし. より倍加及等分によりて に達すると同樣にして より倍加及等分によりて に達す.こは勿論正し,然れども亦平凡なり. が無理數なる場合には斯の如き定義は用に堪へず.要するに,これ數の觀念