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附錄

ユークリツド(Euclid)紀元前三百年.プラトーの門人.著書の最有名なるはエレメンツ(Elements)にして其中十三卷は後世に傳はれり.其幾何學に關せる部分は汎く世に知らる.第七,八,九の三卷は整數論を含む.

偶數にして素數なるは に限る.奇數の素數の中 なる形の二種を區別するに,兩者共に無限に存在す. の如き素數( 等)の限りなく存在するを證するには

なる數につきてユークリツドの證明を模傚すべし. の如き形の數は因子として少くとも一個の なる形の素數を含まざるを得ざるに注意すべし.

の形の素數( 等)の限りなく存在することは,しかく簡單には說明し難し.第六章(十)の結果を用ゐて次の如く此事實を證明することを得.

なる式に於て を任意の偶數となして得べき數の素數因子は盡く の形を有す.げにも今 を或偶數とし, の素數因子(必ず奇數)の一つを と名づくれば にして第六章(十)の (1) 式に於ける 隨て 例へば となすに, さて の形の素數の限りなく存在すべきを證せんに,假に斯の如き素數の數に限ありて に盡きたりとせば,次の如くにして矛盾の結果に陷る. となして を作るに此數の素數因子は の形をなし,而も 以外の數なり.

を奇數となすときは を以て整除し得べく の素數因子は盡く の形をなせり,例へば