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待ち居たる牧野男も程なく歸り來れり。男は御芽出度うの祝辭を浴びながら、只今の會議に於て回答の來るやクレマンソー氏の喜悅は何物にも譬へ樣なく、ウヰルソン氏等がまだ早からむと云ふを聞きもあへず早速祝砲を打つべく命令せりなど語らる。ク氏としてはげにさもありなむ、やがて三鞭は運ばれたり。一同盃を擧げて萬歲を叫ぶ。時事の龜井君發議して曰く是よりシヤンゼリゼーなる萬國記者俱樂部に至り更に大に飮まむと。乃ち龜井、大西(時事)土屋(朝日)添田(報知)諸君の外、林毅陸氏、小山完吾小村俊三郞氏及松岡書記官以下新聞課の面々大擧して同俱樂部に至り盛に三鞭を拔き、萬歲を唱へ、或は演說迄やると云ふ陽氣に、並み居る外人連も呆氣に取られて茫然たり。