Page:Sengo ōbei kenbunroku.pdf/58

提供:Wikisource
このページは検証済みです

 講和會議の組織は大國の橫暴を最好く表現せり、今其一例を擧げんか英國の如きは獨立したる國家と認られざる屬領並に殖民地の代表者を會議に列せしむるの違例を冐して平然たるのみならず將に生れむとする國際聯盟に於ては是等の代表者に獨立せる票决權を與へて毫も憚る所なき也、夫れ國際聯盟の票决權が各國平等たるべきは論を俟たざる所にして一國一票の原則は規約條文の上にも明に規定せられ居るに拘らず英國のみが併せて六個の票决權を占むるに至りしはいかに贔負眼に見るも專橫の譏を免れざる所にして米國が之に對して不服を申し立てつゝあるは誠に當然と云ふべし、然るに英國は尙之を以ても足れりとせず更にヘヂヤ國よりも二名の代表者を出