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氏は毫も舊態を改め居らずそつくり其儘なりと言へり。

 二十日には各國議員一同打揃ふて參內し白國國王に謁見せり、宮殿とは云ふものゝ極めて質素にして宮仕へせる人々も余り數多からぬ樣子なり、一同は大廣間に導かれて各國別に各一團となりて待ち居る內國王臨御せられ先づ挨拶の御言葉あり、次で佛國議員團長シヨーメ氏英國議員團長ランドルス氏答辭を述べ終りて國王は各團長の紹介にて各議員に一々握手を賜ひしのみか種々打ち解けて御物語さへありき、余は王が莞爾として微笑みつゝ余等の前に來りて手を差出し給へる時過去四年の間に於ける王の御心勞を懷ふて淚の下るを禁ずる能はざりき、思ふに其國は奪はれ其民は虐げられて僅にイープル方面