Page:Sengo ōbei kenbunroku.pdf/40

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とは正反對なり、余等は白耳義が今次の戰爭に於て殆國を擧げて敵手に委したりしより推して其國內の慘憺たる有樣如何許りならむと想ひ居りしに村落家屋等殆破損の跡だに見えず、萋々たる草原には牧牛の群の長閑に遊べるなどこれが最近硝煙彈雨に包まれし戰亂の巷なりとはいかにしても思はれざりき、聞く所によれば獨軍は一九一四年開戰の劈頭リエージを死守せし白軍を破りてよりは何等の抵抗にも會せず何等の砲擊をも用ゐずして恰も無人の野を行くが如く一瀉千里に佛白國境迄押し寄せたるものにして彼等は白耳義を以て將來永遠に自己の所有に歸したりしと思ひ込み何物をも大事に保存する事を心掛けたるが故にリエージ、イープル等を除く外はかの佛領