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語頻りに起り來る。余の隣席にありし一記者余の耳に囁きて曰くThe smaller the nation is, the more prone it is to excessive discussion と。ウヰルソン氏は流石に眞摯なる學者的態度を失はず終始手を拱いて傾聽せり。ロイドジヨージ氏に至りては或は起ちて窓際に行き或は卓子の上に置かれたる炭酸水をコツプに注ぎて飮み或は隣席なるバルフオア氏と笑ひ興ずるなど盛に茶目振を發揮せしが遂に會議半ばにして歸り去れり。全權委員中最行儀よきは我西園寺侯なりしなるべし。端然として座し一微動だにせず。本日のデーリーメール紙侯を評して曰くThe face of Marquis, Saionzi, like the mask of a carved image, remained set without expression と。