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决心をなし輸入超過の大勢を轉回して之を輸出超過に導くの方策を講ぜざる可らず、然るに顧みて產業の現狀を見れば眞に慄然たらざるを得ざる次第なり』とて勞働者の時間短縮の要求が生產を减退せしむる虞あるを戒しめ『大英國を危險に陷るゝものは實に昏睡と怠惰に外ならず』と疾呼して勞働黨席を睥睨し更に進んで勞働問題の解决法に就き論斷を下して曰く『吾人は正義と友愛の精神を以て傭主被傭者雙方の要求を考察するを要す、かの矯激なる無政府主義的手段の如きは吾人の極力排斥せんと欲する所也、英國民の傳統能力は單に常識を以て古來幾多の難局を切り拔けたり、吾人は今や此能力を全世界に向つて示すべき時機に際會したるなり』と。