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命はかゝる運動の勃興に好個の機會を與へたるものなり。

 ドルテン氏は今日各方面より種々の批評を受け毀譽褒貶相半する有樣なるが其非難せらるゝ重なる點は氏が佛國の手先に使はれつゝありと云ふ事なり、蓋し佛獨將來の葛藤を防ぎ佛國永遠の安全を圖るべき最大の保證は佛獨間に介在する一國家の新に建設せらるゝ事にあるが故にかゝる非難の起るは誠に當然にして或は事實佛國の裏面的活動が効を奏しつゝあるものなるやも知れず、然れども氏自らは之に對して次の如く辯解せり、曰く

余は飽迄獨逸人たるを誇りとす、此度の計畫も獨逸より分離せんとするに非ず、ライン地方に自治獨立の共和國を形成す