Page:Sengo ōbei kenbunroku.pdf/157

提供:Wikisource
このページは検証済みです

 抑もライン地方とはナツサウ、普領ラインランド、フアルツウエストフアリア等の地方を云ふ、此地方は往昔羅馬人の植民地として最も早く其文化の餘澤を蒙りし所にして他の獨逸地方と異り特殊の種族より成り特殊の言語を用ゐ特殊の文化を有し來りしも未だ今日迄一國を形成するに至らず、ナツサウ公國の如き夙にプロシヤに併合せられ曾て自由市たりしフランクフルトも同じくプロシヤ領となり其他或はババリヤに或はへツセに併せられて支離滅裂の狀態にありしなり、是等地方を各其主治國より分離せしめたる上、共通の文化を基礎として一のライン國家を作らんとする企は餘程以前よりありしも之が具體的運動となりて表れしは昨年來の獨逸革命の際にして此革