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の人手なりしが佛國々旗を以て飾れる大舞踏場に於ては獨人も佛人の中に混りて共に踊り居たりき。

 此地の大寺院は巴里のノートルダムと併稱せらるゝものにして十世紀の頃始めて建造に着手し十五世紀に至り漸く竣工せるものなり、隨つて建築樣式も其間に時勢の影響を受けて次第に變化したりと覺しくロマネスクの所ありゴシツクの所あり塔の高さは百四十米突にして巍然として半空に懸り世界第二の高塔と稱せらる、此寺には又有名なる時計あり、十九世紀の始め或天文學者の作製に係る、太陽、月、地球等何れも小さき圓球を以て之に現はし時計の動くと共に日月の進行を一目瞭然たらしむるのみならず宗敎の年中行事迄も現れ來る、而して作者