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七、ラインの旅

 講和の使命恙なく終へし西園寺侯は七月十七日を以て巴里出發歸朝の途に就かれぬ、余は侯をリオン停車塲に見送りてここに半歲の間行動を共にせる同侯一行に別れを吿げ翌十八日單身ヴエルダンに向ひて巴里を去れり、是れより先姉崎博士と約し佛蘭西が此度獨逸より取戾したるアルサス、ローレン二州に入り夫よりライン河に沿うて所謂占領地を一周せん計畫あり、占領地とは今度の講和に基く獨逸の條約履行を監視する爲或年月の間聯合軍が占領したるライン左岸の地方を謂ふなり、而して姉崎博士は佛人ナイト君(佛國政府極東課員)及ブロツシ