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ンシヨナリズムの國なり、故に宗敎の勢力と門閥の觀念とは特に根强き基礎を國民生活の上に有したりき、即ちカソリツク敎が從來佛國の上中流の家庭を支配し來りし勢力は遠く吾人が想像の上に出でカソリツクと分離しては到底佛人の生活と思想とを了解し得られざる程にして其峻嚴なる法規は實に彼等が日常動作の末迄も束縛し居たる也、然るに此のカソリツクの勢力も近來大に動搖をなし始めたり、勿論今日と雖表面上祈禱を捧げ敎會に赴くの習慣は毫も從前と異るを見ざれど其宗敎に對する一般の考は著しく冷却し來りしものゝ如し、二三の僧侶に就き是を質せしに彼等は何れも戰爭が宗敎的敬虞の念を增さしめたる旨を力說せり、なる程一面より見ればかゝる傾向